カルチャー
インタビュー【後編】

King&Princeデビューは「小手先の戦略」!?  企業コンサルタントが「崩壊するジャニーズ」に助言

2018/07/16 17:00

――具体的にどうすればいいのでしょうか?

大関 例えば、タレントも含めて“これからのジャニーズアイドル”はどうあるべきかと議論するなどでしょうか。SMAPの元チーフマネジャーは、これまで“歌って踊る”のがメインだったアイドルを、バラエティやドラマにどんどん進出させ、今のアイドルのスタイルを築き上げました。今のジャニーズのアイドルは、その流れに乗っかっていると思いますが、危機に瀕している今、あらためて“みんなで”“イチから”、今後のジャニーズアイドルの在り方を考えてみてもいいのではないでしょうか。それが、ジャニーズ事務所のコミュニケーションの流れを変えることにもつながる気がします。

――ジャニーズ事務所は、ジャニー氏の審美眼に支えられている部分も大きかったと思います。“売れるアイドル”を見抜く目があると、業界内外で言われていました。

大関 確かに、ジャニー氏のような能力のある人物はなかなかいません。であればジュリー氏は、“天才がいなくてもいい運営方法”を考えなくてはいけないんです。それが企業として、大きく発展できるかの鍵になります。例えば、ソニー創業者の井深大氏と盛田昭夫氏はどちらも優秀な技術者でしたが、あるとき、井深氏は開発に、盛田氏は経営に専念するようになりました。なんでも“天才発明家”として才覚を発揮していた井深氏が、盛田氏に「ソニーを次の世代に引き継ぐために、君にはマネジメントに専念してほしい」と提案したそう。ソニーにとって、この開発と経営を分離したことこそが、世界に名だたる大企業としての基礎になったんですね。

――ソニーの話を聞いて思ったんですが、ジャニー氏はそもそも演出家で、メリー氏とタッグを組み、それぞれ「開発」と「経営」を担っていたとされています。ただ、ジュリー氏の代になって、その分離がうまくいかなくなったということなのでしょうか。

大関 ジャニー氏とメリー氏が、次の世代に事務所を渡す準備をしていなかったのが大きいと思います。芸能界で栄華を極めているがゆえの、油断や安心感もあったのかもしれませんね。どれだけ立派な組織であっても、未来永劫続くものはありません。

――このままでは、ジャニーズ事務所も衰退の一途を辿るのでしょうか。

大関 ジャニーズは、SMAP、そして嵐という2大グループが大きく花開いて20年といったところでしょうか。どこの企業でもそうなのですが、例えば一事業が大きく花開いても、それが続くのは長くて30~40年。20年というのはピークアウトに近いといえるでしょう。「金のなる木」というマーケティング用語があります。投資を続けて事業を大きくしていき、ある時、投資しなくてもどんどんお金が入ってくるようになる……その状態を「金のなる木」と呼びます。ただ、お金が入ってくるからといって、そのまま放置しておくのではなく、次のビジネスモデルを考えて、新たな投資をしていかなくてはいけないんです。

 ジャニーズ事務所も、SMAP型のビジネスモデルは既にこの「金のなる木」なのかもしれませんが、結局、同じタイプのアイドルの売り方をしてもダメ、いずれ飽きられてしまいます。King&Princeが一時期売れたとしても、第2の嵐、第2のSMAPにはなり得ない、まったく別のアイドルのあり方を作らなければいけない。そういう危機感も持つべきだと思います。それに、時代とともに、ファン層も、ファンがアイドルに求めるものも変わっていくものです。それを敏感に察知して、新しいアイドル像に取り入れていくことも念頭に置いた方がいいのではないでしょうか。

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