元女囚が明かす“刑務所ダイエット”——便秘薬と睡眠導入剤を交換取り引き
痩せていく男子がいてるというのに、太るのを気にしてごはんを残してしまう女子。たまにしか出ないパンは残さないのに、ごはんは残すんですよ。なんなんですかね。まあ今思えば、シャバではごはんをどんぶりで食べる女子はあまりいませんから、太るというよりは単純に多いだけなのかもしれません。私は残さないで食べてましたけど。
それに、なぜかムショでは食べ物をあげたりもらったりするのは厳禁で、懲罰の対象なのに、残しても叱られるだけなのです。とはいえ堂々と残すのは、出所が近くなってからです。出所日がわかるまでは進級(受刑者にはランクがあり、マジメにやっていると、手紙や面会の回数などで優遇してもらえるようになる)や仮釈放が心配なので、コッソリ捨てたり、トイレに流したりします。もう出られるとわかれば、先生(看守)の小言なんかシカトです。
でも、ごはんを残すと、便秘薬がもらえなくなります。「便秘するのは、ちゃんとごはんを食べないから」という理由ですが、食べたものを栄養にしないで出す……というのはムチャなダイエットの基本中の基本です。ごはんを全部食べていた私は便秘薬をもらえるので、便秘でもないのにたくさんもらって、ほかのコが持っている睡眠導入剤と交換してもらっていました。それで夜中に大量に飲んでラリってたわけです。ほんまロクなことを考えませんね。
そして、ムチャなダイエットは必ず先生にバレます。月に2回か3回、先生の立ち合いで体重を量っていました。ダイエットしてるコは、先生にバレないように、おなかに辞書を仕込んだりしていましたよ。
また、年末年始はムショでもカップ麺の年越しそばやおせち料理、白米(古米ですけどね)やお餅などが出るので、みんな太りましたね。人によりますが、2キロから7キロくらいはみんなイッてたと思いますよ。私も5キロくらいは太ってたと思います。それで、出所が近いコたちはごはんを捨てて、便秘薬を飲むことになります。
ダイエットくらいええやんと思うのですが、ムショというところは、とにかくいろんなことが「アカン」のです。
中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)」
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