女性議員はいなくてもいい!? “政治家の質向上”に必要なことを専門家に聞いた
それでは、具体的に女性議員を増やすには、どうすればいいのだろうか?
今年5月16日に「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律案」が参議院で可決、成立した。この法案成立の意義は大きいと、三浦氏は語る。
「今までは、どの政党も、女性議員を増やすことに本気では取り組んでいませんでした。しかし、今回の法律が成立したことで、各政党は基本原則として選挙の立候補者数の男女均等を目指すことが求められるようになったわけです」
現職議員を降ろしてまで新人女性を擁立することは難しい。そのため、議席をこれから獲得していく野党が新人候補としていかに女性を擁立できるかが、法律に実効性を持たせる鍵になってくると三浦氏はいう。
「多くの先進国を見ても、リベラルな政党が女性候補者を多数擁立し、政権交代を起こすことによって、女性議員が増えています。そして、選挙に負けた保守政党が『こっちも女性を増やさないと、また負けてしまう』と焦ることで競争が起き、全体として徐々に女性議員が増えているのが世界の趨勢なのです」
1990年代後半までは、イギリスやアメリカなどでも今の日本と同様、女性議員が少なかったが、今ではイギリスは28.5%、アメリカでも19.7%と変わってきている。日本と同じく、女性議員が少なかった韓国では、候補者の一定比率を女性に割り当てる「クオータ制」を法的に義務づけて17%まで上がっている。
今回成立した「政治分野における男女共同参画推進法」は基本原則を定めたもので、政党に対する罰則はない。しかし、男女格差を測る「ジェンダー・キャップ指数」が世界で114位の日本においては、今後は「クオータ制」を採用して、さらに法的な強制力を強めるといった策を講じなければ、現状の大幅な改善は難しいかもしれない。
(福田晃広/清談社)