男性保育士は「娘の排せつ介助しないで」! 園へのクレームで孤立した“女の子ママの苦悩”
その一方で、認可保育園で副園長を務めている斎藤さん(仮名)は、男子保育士はいなくてはならない存在だという。女性保育士よりも、結婚や妊娠というリスクが少なく、遅い時間のシフトも組みやすい男性保育士は、雇う側としてはメリットが多い。また運動会や発表会など力仕事が発生する場合は、女性保育士だけでは時間のかかる作業も、男性保育士がいるとスムーズに準備ができるという。
「ただ、拘束時間が長いわりに給与が少ないので、30歳前に辞めていく人も多いです。0~1歳児はオムツ替えが日常的にあり、保護者からのクレーム対策として、男性保育士を配置しづらいという問題があります。必然的に4~5歳児クラスを受け持ってもらうことになりますが、今度は女児の着替えやプールなどで、『男性保育士が対応するをやめてもらいたい』という親も出てきます。男性保育士の配置換えは、実質的には難しいので、クレーマー体質の保護者には、納得するまで説明をしています」
男性保育士が担任を持つと、「報告ノート(保育園での園児の様子を書いたノート)が読みづらい、字が汚い」というクレームや、「ズボンの前後が逆だった」というクレームが入ることがあるという。同様の行為を女性保育士が取った場合は、保護者からクレームはないそうで、男性保育士だと「男性だから雑」というように言われてしまう傾向があるとのこと。給与や条件面から考えると、男性保育士にとっては、決して好条件とは言えない保育士。子どもが好きという使命感で職務を全うしている男性保育士も多い中、女性保育士よりも評価が得られにくい面もあるのかもしれない。
男性保育士の存在が世間的にまだ認められていないのは、保護者たちも彼らにどう接すればよいのかわからない中、男性保育士が起こした事件により、マイナスイメージばかりが強くなったからではないだろうか。園側は、男性保育士と女性保育士の間で明確な役割分担ができるよう、保育士の人材確保や保護者との連携を進めるべきなのかもしれない。
(池守りぜね)