カルチャー
詩人・文月悠光さん×男の娘・谷琢磨さん(実験台モルモット)対談

男女がわかり合うにはどうすべき? 詩人・文月悠光と男の娘・谷琢磨が語る「セクハラ問題」

2018/06/08 16:00
谷琢磨さん(左)と文月悠光さん

 史上最年少の18歳で中原中也賞を受賞し、当時は「JK詩人」として一世を風靡した詩人の文月悠光さん。就活経験もなく恋愛経験も未熟で、世間知らずだと自称する文月さんが綴ったエッセイ『臆病な詩人、街へ出る。』(立東舎)には、JK詩人と呼ばれたことへの戸惑いをはじめ、セクハラ体験や自身の恋愛体験などが赤裸々に明かされています。今回は、普段から女性の格好で日常生活を送り、「女性の格好をするようになって心が広くなった」と語る、ロックバンド「実験台モルモット」のボーカルでイラストレーターの谷琢磨さんとの対談を実現。2人のジェンダー観や、最近世間を騒がせているセクハラ問題について語ってもらいました。

 子育てはチームなので「手伝う」のではなく「当たり前」

――文月さんはこれまで、谷さんのようにセクシュアリティは男性でありながら、女性の格好をしている男性と、接したことはありますか?

文月悠光さん(以下、文月) セクシュアリティに違和感を持って女性の格好をしている方とは接したことがありますが、谷さんのように、女性の格好を楽しみたくて女装をしてらっしゃる方と接するのは初めてです。

谷琢磨さん(以下、谷) 気づけば7年くらい、女性の格好をしています。もともと女装をしたくて始めたわけではなく、お仕事でロリータブランドの服を着る機会があり、やってみたらまた女装のお仕事をいただけるようになったので、完全にビジネスから入りました(笑)。入り口は仕事でしたが、毎日自撮りをしてブログを更新するとなると、常にこの格好をしていなきゃならない。その結果、この格好でいることが当たり前になっちゃったんです。

文月 疲れませんか?

 それが疲れないんです。この自分でいるのが、すごく自然体になってしまって。

文月 自然なことなんですね。なんだか羨ましくなってきちゃいました(笑)。

――谷さんは1歳半の娘さんがいらっしゃるとのことですが、今、育児が大変な時期なのではないでしょうか?

 早朝に娘の往復ビンタで文字通り叩き起こされるので、寝不足です(笑)。昔は地毛のロングヘアだったのですが、娘に引っ張られて抜けてしまうので、バッサリと切り、最近はウィッグをつけています。

文月 けっこう子育てには参加されているのですか?

 そうですね。嫁とはある程度役割分担していて、一緒に育てている感じです。僕は仕事もあるので、仕事の合間にいったん帰って娘をお風呂に入れて、また仕事に出かけるということもあります。

文月 すごい! しっかり分担されているんですね。

――最近は、少し育児に参加しただけで「イクメン」と呼ぶ傾向が嫌だという女性もいますよね。

 そうなんですか。少しでもやったほうが、お母さんは助かると思いますけどね。でも、「手伝う」という意識でやるといけない気がします。手伝っているわけではなく、育てるのはお父さんもお母さんも同じなので、「当たり前」という感じでしょうか。

 でも、自発的にそういう考え方が生まれたというより、自分が育ってきた環境や、お世話になった事務所に教え込まれたことがバックボーンにあるのかもしれません。仕事でも家庭でもそうですが、チームでやっているのだから、「手伝う」という概念でやるのはよくないと言われてきました。「手伝う」という意識では、外部的になっちゃいますから。

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