カルチャー
【連載】紫帆ママが見た「きょうのクソ客」第6回
セクハラは「脳の病気」!? 異常な性欲おじさんが、1年後“真人間”に変化したワケ
2018/06/08 15:30
「ママひさしぶり。俺のこと覚えてる? まあ、1杯飲んでよ」
あのケチだった性欲おじさんが、自分からお酒をおごる……だと? 久しぶりの来襲にどう応戦しようかと身構えていたわたしは、完全に肩透かしを食らいます。いただいたウイスキー越しにおじさんの様子を観察していると、以前どす黒く彼を覆っていた性欲オーラが消え、明らかに温和になっていることがわかりました。しかも、ほかのお客さまと普通のテンションで会話をしているではないですか!
いったい何が彼を変えたのか? 困惑した表情を察したのか、おじさんが口を開きました。
「俺、変わったでしょ? 実は1年前、脳の病気で倒れてさ。手術したら人格変わったみたいなんだ」
衝撃の告白――ですが、どこか腑に落ちるところもあります。性欲おじさんは「手術したら人格が変わった」と言いましたが、異常なまでに性にアグレッシブで、他人の話を遮ってまで自分の話をまくし立てる以前のあの状態は、脳の疾患によるものだったのではないでしょうか。病気が発覚し手術をしたことで、本来の穏やかな性格を取り戻したと考えるほうが自然です。
かくして、あらためて常連となった性欲おじさん。かつての性欲ほどではありませんが、今もストリップ好きは健在(ダンサーさんを気遣いながら、しっかりお金を落とす良客になったようですよ)。当バーでは「ちょっとエッチなおじさん」として、そこそこ愛される存在となったのでした。
(隔週金曜日・次回は6月22日更新)
プロフィール
浮川紫帆(うきがわ・しほ)
東京都内の繁華街の一角でバーを経営する30代バツイチ女性。ママ歴は6年。好きなお酒はマカストロングのお湯割り。
(イラスト=ドルショック竹下)
最終更新:2018/06/08 15:30