ウォーカー役のギャラはいくら? 『ウォーキング・デッド』の興味深いトリビア10選(前編)
5月になって、シーズン9の撮影がスタートしたと報じられた米ドラマ『ウォーキング・デッド』。スピンオフの『フィアー・ザ・ウォーキング・デッド』は悲しいほど不評だが、本家を「見飽きた」という人は少ない。毎回「おぞましいゾンビが見たい」という欲求を満足させてくれるのはもちろんのこと、ゾンビ(今作ではウォーカーと呼ばれる)によって荒廃した世界で、「極限まで追い込まれた人間たち」が繰り広げる物語が壮絶すぎて目が離せないからだ。
主要キャラクターであるリック(アンドリュー・リンカーン)はもちろん、ほかのキャラクターたちも個性が際立っている。シーズンを重ねるごとに見るに堪えないようなグロいシーンも増えていくのだが、中毒性が高く、世界中にファンも持っている。今回は、そんな人気ゾンビドラマ『ウォーキング・デッド』の興味深いトリビアを紹介しよう。
1.腐敗メイクのプロたちが大活躍
本作になくてはならない存在が、リアルなビジュアルを持つウォーカー。これは、特殊効果クリエイターのグレッグ・ニコテロが、4人の番組専属メイクアップアーティストたちとチームを組み、1体につき平均1時間~1時間半かけて創り上げていくもの。「死人のような濁った瞳を演出するコンタクトレンズを入れ、腐ったように見える義歯/マウスピースをはめる」のだとか。
限られた数のウォーカーで撮影する日は至近距離でも腐敗して見えるように、細かなメイクを。60~70体の大群が登場するエピソードでは、遠距離からの撮影に合わせて、ハイライトとシャドーを強調した死に顔メイクを中心に施していくとのこと。ピンクの舌や口内が映ると死体に見えないので、ケーキなどに使うアイシングで黒くするなど、細部にまでこだわってメイクをしていくそうだ。
また、シーズンが進むごとにウォーカーがどんどん腐敗していくという点を意識し、肌色の調合についても探求を怠らないとのこと。ウォーカーだけでなく、オープニングで流れる『THE WALKING DEAD』のロゴもシーズンを重ねるごとに少しずつ腐敗が進行していくので、ぜひ注目してもらいたい。
2.ウォーカー役に適した人材
毎シーズン撮影を行う前に、前述の特殊効果クリエイター・グレッグが、「ゾンビ・スクール」なるものを開催。まず、ウォーカー役のために集まった150~200人のエキストラのオーディションを行い、外見とパフォーマンスでグレード分けをして、リアルにゾンビを演じる方法を伝授する。グレッグいわく、「脳と体の動きが一致していない」ような、泥酔した人間の動きを参考にしているとのこと。
ウォーカー役に適している人は、厚みの出る特殊メイクを施しても違和感のない痩せ型。もちろん、感情ゼロのゾンビをリアルに、ナチュラルに演じられることも重要だ。
ちなみに、ウォーカーが食い散らかす人間や動物の臓器は、酢漬けのハムを使用。臓器を食べているシーンはハイエナをイメージし、極力口で肉をかみ切るように指導しているという。CGでは、ゾンビが撃たれた時の血しぶきを加えるだけでなく、寒い時期に撮影した場合は口から出る白い息を消し(死人であるゾンビは息をしていないため)、まばたきを消して目が開けっ放しになるように修整。撮影時にはゾンビ役のエキストラは一切声を出しておらず、「おぞましい声」は編集で重ねていく。そのため、撮影中は不気味なほど静かだそうだ。
3. ウォーカー役のギャラ
2011年、ウォーカー(エキストラ)を演じた人物がネット掲示板に、出演料として2日間で600ドル(約6万5,000円)、年末にはボーナスも支払われたと書き込んだ。数年後、別のエキストラ男性が掲示板に「1時間64ドル(約7,000円)で拘束時間は8時間。スタントをするとボーナスが支払われた」と告白。1日8時間労働と考えると、シーズンが進むにつれてゾンビ役のギャラも上がっている。とはいえ、特殊メイクをしたまま長時間出番を待つこと、撮影は一瞬だけで自分の顔は見えないため、放送されても役者として顔は売れないこと。また、撮影は外がメインなので体力を消耗することを考えると、もうちょっと高くてもよいのではないかという意見が多い。