『ブラックペアン』で天才外科医を演じる嵐・二宮は「ダメ研修医」にしか見えない? Dr.高須幹弥が分析
【第64回】「高須幹弥センセイ、ニノは天才外科医に見えますか?」
嵐・二宮和也が初の外科医役に挑戦している『ブラックペアン』(TBS系)に注目が集まっている。二宮演じる渡海征司郎は、100%の手術成功率を誇る天才外科医。傲慢な態度から「オペ室の悪魔」と呼ばれているが、新技術導入の背後に潜む闇を暴こうと、自身の勤める大学病院にひとり立ち向かうというダークヒーローだ。しかし、二宮の風貌に、視聴者から「子どもにしか見えない」との指摘が相次いでいるという。6月17日には35歳の誕生日を迎える二宮。なぜいまだに幼く見られてしまうのだろうか? 高須クリニック名古屋院院長の高須幹弥先生、二宮が外科医に見えないのはどうしてでしょう?
■二宮の見た目はダメ研修医
心臓外科手術はチーム医療なので、現実世界で一流の執刀医になれるのは早くても40歳くらいのことが多い。二宮さんの実年齢である34~35歳は、ようやく医師として独り立ちしたくらいの年齢です。そのため、僕から見ると、あの若さで手術を指揮する執刀医という設定自体にムリがあると感じます。ただ、視聴者は医療の現場をそこまで詳しく知らない人が多いので、さほど気にならないはず。それでも違和感を覚えてしまうのは、実年齢よりさらに若く見える見た目のせいかもしれませんね。
二宮さんは凹凸の少ない平面顔で、いわゆる童顔。低いダンゴ鼻と小さくて離れている目が、より童顔っぽさを強調しているので、見ようによっては25歳と言っても通用する顔立ちです。外科医の世界で25歳は研修医くらいなので、要は竹内涼真さんが演じている役どころがマッチするビジュアルなんですね。さらに、二宮さんは背が低いうえに猫背なので、自信がないようにも見え、「成功率100%の天才外科医」という自信に満ち溢れたベテラン医師の雰囲気が感じられないのだと思います。
また、エラや頬骨の張っていない輪郭で男らしさが感じられないので、「医療界の悪事を暴くダークヒーロー」というイメージもイマイチそぐわないのでしょう。二宮さんは、かつて『硫黄島からの手紙』という映画で演じた陸軍一等兵・西郷のような気の小さい人物のほうが雰囲気に合うので、医療モノなら“ダメ研修医”といった設定のほうがいい味を出せたと思いますよ。
ちなみに、心臓外科手術は長丁場になりやすく、夜中に突然呼ばれたり、手術後の急変に備えて病院に寝泊まりすることも多いため、持久力や体力を必要とするんです。だから、バリバリ手術をしている心臓外科医は体格のいい人がほとんど。二宮さんは、体形的にも外科医っぽくないですね。あの細さでは体力が続かず、すぐに倒れてしまいそうでちょっと心配です。
■二宮より長瀬のほうが適役
過去に放送された医療エンターテインメントドラマだと、『振り返れば奴がいる』(フジテレビ系)の織田裕二さんや、『白い巨塔』(同)の唐沢寿明さんは、天才外科医の風格があったと思います。織田さんは当時25歳と、実年齢は研修医くらいだったのですが、顔立ちと体格からダークヒーローらしい雰囲気が感じられました。唐沢さんは40歳くらいで年齢的にもちょうどよかったし、貫禄のある顔にがっしりした体つきと、正に適役でしたね。『ブラックペアン』も、同じジャニーズならTOKIOの長瀬智也さんのほうが、顔も体格も渡海役にふさわしかったのではないかと思います。
とはいえ、二宮さんは演技力が高いし、脚本自体もおもしろいので、エンターテインメントとして十分楽しめるドラマだと思いますよ!
高須幹弥(たかす・みきや)
美容外科「高須クリニック」名古屋院・院長。オールマイティーに美容外科治療を担当し、全国から患者が集まる。美容整形について真摯につづられたブログが好評。
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