2人の息子を連れ去った夫を略取誘拐罪で刑事告訴! その後、子どもを取り戻して離婚
――相手は、すんなりと子どもの引き渡しに応じてくれたんですか?
義母サイドが「刑事訴訟を取り下げてくれたら、引き渡す」という条件を出してきたんです。それで最終的にはまとまりました。ずっと警察の取り調べを受けるのは、心理的にキツイでしょうからね。親権が確定してから1カ月ほどした後に、ようやく離婚が成立しました。親権確定と同時でなかったのは、財産分与などの条件を決める必要があったからです。
父親Hさんから母親である有井さんへ、大人の都合で住むところを転々とさせられる子どもたちの心の負担がなるべく少ない形で、決着したのだ。
――その後はどういうふうにして、子ども2人との生活を作り上げていったのですか?
それがすごく不思議なことに、子どもたちが私の家で暮らすということが決まった時点で、長男のPASが突然、バキッと全部解けたんです。
――えっ? それはどういうことでしょうか?
義実家で暮らしていた時は、緊張していて「義実家の人たちに嫌われないように」とか、「自分の居場所はここだから、ここで暮らしていかなきゃいけない」と、たくさん気を使って過ごしていたんだと思うんですけど、「今日からここで暮らすんだよ。今まで暮らしてきたおうちに戻ってきたよ」って言った瞬間に「ママー」って言って甘えてきてくれました。
――長男に態度を変えた理由を聞きましたか?
あるとき1回だけ、「ママのこと嫌いって言ってたことあったよね。覚えてる?」って聞いたんです。すると涙を流しながら「本当は思ってなかった」って、喉を震わせるようにして言っていました。間で板挟みになってつらかったんでしょう。だけど自分の身を守るために、自己防衛の究極の手段だったんだろうなって。そんな大事なことも言えないし、自分の感情を殺さなきゃいけない環境なんてよくないと思ったので、逆に引き取ることになったときには、これからも「パパのことが好き」ってちゃんと言えるよう、Hに積極的に会わせるつもりでした。
――元夫のHさんに会わせたいということですか?
もちろんです。面会交流ってお互いのためでもあるけど、でも一番は子どものため。私に会わせないようにしたから、今度は逆に、私がHには会わせない――なんていうふうにはしたくない。子どものことを真剣に考えたら、「パパに会いたい!」という気持ちを隠さなくてもいい環境、会いたい時に会える環境を作ることが大切なんじゃないかと思いました。