「エナジードリンク」は危険ではない!? カフェイン研究のスペシャリストが正しい飲み方伝授
効果的に飲むポイントは、“飲む時間帯”と“飲む速度”
――では、パフォーマンスを上げるために効果的なエナジードリンクの飲み方はあるのでしょうか?
栗原 効果的に飲みたいのでしたら、特に“飲む時間帯”と“飲む速度”を気にするとよいでしょうね。まず時間帯ですが、基本的には、コーヒーやお茶を飲むのと同じようなスケジュールで飲むことを意識してください。カフェインは一度摂取すると3~4時間で体内の濃度が半分に減るので、一気に何本も飲むより、そのくらいの間隔を空けた方がずっと効率的です。そして、夜飲むことはおすすめできません。よく、「カフェインを夜摂取すると眠れなくなる」と言いますが、これは正しい。カフェインは脳を刺激しますから、夕方4時以降に摂取すると睡眠に影響が出てしまいます。
――「午後4時以降」とは、意外に早い時間帯という印象です。
栗原 そうですね。「カフェインは夕方まで」を心がけると、睡眠の質が上がりますよ。それと、朝に飲む際は“空きっ腹”に気を付けてください。胃がカラの状態で飲んでしまうと、胃液が増えてしまい、キリキリしてしまいますからよくありません。必ず朝食と一緒に飲む、またはご飯の後に飲むことを心がけてください。
――では、飲む速度としてはどのくらいがよいのでしょうか?
栗原 先ほど「一気飲みはよくない」と話しましたが、おすすめは、一気飲みの反対で“ゆっくり飲むこと”。一気に飲んでしまうと、約30分でカフェインの血中濃度がピークになり、そして減っていきます。減ってしまうとその分パフォーマンスも落ちてしまうので、ゆっくり飲んで、血中濃度を上げすぎないことが大切です。
――缶に直接ストローを挿して飲んでいる人もいますが、その飲み方はどうでしょうか?
栗原 それは良い飲み方ですね! がぶ飲みだと、どうしてもいっぱい飲んでしまうという方もいますから、そういう方はストローを使ってゆっくり飲むことを意識できたらいいと思います。まだ見かけませんが、キャップのついたペットボトル入り本格エナジードリンクがあれば、一気飲みの防止に役立ちますね。
――私はどちらかというとエナジードリンクに否定的だったのですが、正しい知識を知ってイメージが覆りました。コーヒーやお茶と同じ「カフェインが入った飲み物」として適度に飲めばなんの問題もないんですね。
栗原 はい。カフェインは決して“悪”ではありません。むしろ、カフェインは皮膚などの末梢の血流をよくするので、冷え症やむくみの解消にもいいんですよ。さらに、代謝も上がるので、お肌がきれいになる効果もあるんです。
――代謝が上がればダイエットにもつながるので、女性にはうれしい効果なのではないでしょうか。
栗原 そうですね。ただ、エナジードリンク自体は砂糖がたくさん入っているので、ダイエットには不向きです。健康のためにカフェインを摂りたいのであれば、ブラックコーヒーやお茶がおすすめ。ただし、カフェインは胎児によくないので、妊婦さんは摂取を控えてください。
今回栗原氏にお話を聞いた限り、「エナジードリンクだから飲んではダメ」というのは間違いだということがわかった。正しくは、「エナジードリンクもコーヒーもお茶も、“カフェインが入っている飲み物”という面ではたいして変わりはなく、適切な時間・量を守り、大量摂取しなければ危険ではない」ということだ。
今後エナジードリンクを飲む際は、ぜひ参考にしていただきたい。
(ヨコシマリンコ)