「エナジードリンク」は危険ではない!? カフェイン研究のスペシャリストが正しい飲み方伝授
――では、エナジードリンクは、1日どれくらいまでなら飲んでよいのでしょうか?
栗原 1日1本程度でしたら、基本的にはまったく問題はありません。それ以上飲もうとする場合、エナジードリンクは缶によって容量が違うので、「1日何本までならOK」と明確には言えないものの、日々飲んでいるコーヒーやお茶と同じくらいの量なら大丈夫だと思います。ただし、飲む量と飲み方には気をつけてほしいです。
――と、言いますと?
栗原 コーヒーは1杯150mlくらいで、カフェインは約65mg入っています。一方でエナジードリンクは、種類にもよりますが、1缶350mlという容量で、カフェイン量は150mg配合されています。つまりエナジードリンク350ml缶のカフェイン量は、コーヒー1杯分の2.5倍にもなるんです。
カフェインは心臓に対しても刺激する作用があるので、例えばコーヒー2杯半を一気飲みしたら、感度の高い方だと心臓がバクバクして、気分も悪くなってしまう可能性があります。エナジードリンク350ml缶も同様に、一気飲みはよくありません。
エナジードリンク“だけ”で死ぬ可能性は低い
――では、一気飲みではないものの、「エナジードリンクを短時間に何本も飲む」というのはどうでしょう? 日本では、エナジードリンク関連で死亡した例があり、「エナジードリンクを飲みすぎる=死ぬ」というイメージを持っている人も少なくないようです。
栗原 短時間に大量に飲むと、心臓に負担がかかります。心臓に不整脈などの持病がある方なんかは、大体カフェイン500mg(コーヒー約8杯分)でリスクとなりますが、一般的なカフェインの致死量としては、1回摂取で大体10g(10,000mg:コーヒー約150杯)とされています。実は飲み物だけで、カフェイン中毒になって死ぬというのは難しいんですよ。
――では、死亡した例は、短時間に100缶以上のエナジードリンクを飲んだということでしょうか?
栗原 調べてみたところ、死亡した方の胃の中からは、“カフェインの錠剤”が見つかっているんです。カフェイン錠剤は1錠中に100㎎のカフェインが含まれ、血中濃度から換算すると、約170錠を摂取したと推定されました。つまり、エナジードリンクとは別で、カフェイン錠剤も摂取していたことになります。死亡原因は主にカフェイン錠剤で、エナジードリンクだけのせいではないようですね。もちろん、だからと言って「エナジードリンクを大量に飲んでいい」というわけではありません。コーヒーやお茶と同じように、適度な量を守ってください。