新庄剛志がやろうとしている“目玉整形”は何? 「世界的にタブー」とDr.高須が警告!
【第62回】「高須幹弥センセイ、黒目の色って変えられるんですか?」
元プロ野球選手の新庄剛志が、3月21日放送の『今夜くらべてみました』(日本テレビ系)で目玉の整形を予定していると話し、話題となっている。新庄と言えば、昨年9月に同番組で整形をカミングアウトして注目を集めたことも。今回は、「目玉をグレーっぽい緑。目の中に麻酔をポフッて入れます。そっから色を乗せる」と、黒目の色を変えたいようだ。しかし、日本でそのような施術を受けたという話はほとんど耳にしない。恐らく海外で受けるのだろうが、それってどんな手術なの? リスクとかないわけ!? 高須クリニック名古屋院院長の高須幹弥先生、新庄が言っている目玉の整形ってどんなものなんですか?
■新庄がやろうとしている目玉整形は何?
情報が少ないので詳しいことはわかりませんが、新庄選手の説明からすると、恐らく「レーザー手術」か「人工虹彩インプラント手術」のどちらかではないかと思います。
レーザー手術は、レーザーで虹彩にあるメラニン色素を取り除いて瞳の色を変えるというものです。ただ、ブルーの瞳になるようなので、色味がちょっと違うかな?
人工虹彩インプラント手術は、角膜をわずかに切開して、そこから色付きのシリコン製人工虹彩を入れて瞳の色を変えます。人工虹彩の色次第でブルー以外にもできるようなので、こちらの方が可能性は高いかもしれませんね。
■人工虹彩インプラントは「受けてはいけない手術」
どちらの手術だとしても、日本でやっているという話は聞かないので、恐らく海外に渡っての施術になるでしょう。日本人でも瞳の色を変えたいと思っている人は少なからずいるでしょうから、日本で施術が受けられるようになればはやるだろうし、病院側としてもそれなりに繁盛すると思います。それでも執りおこなっている病院がないのは、やる側のリスクが高いからだと思いますよ。
中でも人工虹彩インプラント手術は、アメリカの厚生労働省にあたるFDA(米国食品医薬品局)ですら認可していないほど、世界的に「やってはいけない」という風潮なんです。感染症、緑内障、白内障、角膜損傷、視力低下、失明などのリスクがあり、実際に失明から角膜移植を要した症例もあったことで、米国眼科学会では「受けてはいけない手術」として提唱しています。アメリカでも施術を行っている病院はほとんどないようですし、知り合いの美容整形外科医や眼科医からも、施術を受けられる病院を知っているという話を聞いたことはありません。
そのような手術を行って何か問題が生じたら、医者側は裁判などでも圧倒的に不利な立場となってしまいます。患者数は見込めても、世界的によくないとされていて、トラブルがあれば利益よりも賠償金のほうが高くなりそうな手術をやりたがる医者はそういないでしょう。
うちのクリニックでも、もちろんやっていないので、「瞳の色を変えたい」と来られる患者さんもおりません。ただ、「黒目を大きくしたい」という患者さんは結構います。でも、実際に黒目を大きくすることはできないので、眼瞼下垂などで目の開きをよくして、黒目の出る割合を増やす施術をおすすめしています。
■美容目的の目玉整形はリスクが高すぎる
新庄さんの希望している手術が何にせよ、瞳の色を変える手術で安全性の確立されているものは恐らくないと思われますので、医師から事前にリスクの説明を受けて、納得と覚悟の上で決意する必要があるでしょう。ただ、治療として行うなら、リスクとベネフィットを天秤にかけてもやったほうがいいケースもあると思いますが、美容目的で感染症や失明は、さすがにリスクが高すぎるかなと僕は思います。
もしどうしても瞳の色を変えたいなら、カラーコンタクトがいちばんお手軽でしょうね。ただ、質の悪いカラーコンタクトは、通常のコンタクトより酸素の透過性が悪く、目に良くないと言われているので、「人工虹彩インプラント手術よりはマシ」という程度かと思います。
高須幹弥(たかす・みきや)
美容外科「高須クリニック」名古屋院・院長。オールマイティーに美容外科治療を担当し、全国から患者が集まる。美容整形について真摯につづられたブログが好評。
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