『花より男子』の名場面&決めゼリフから考える、『花のち晴れ』の“いただけない”点
『花より男子』(TBS系)のF4が卒業してから10年後の英徳学園高校を舞台としたドラマ『花のち晴れ~花男Next Season~』(同)が始まった。
人気ドラマのその後の世界を描く作品で、デビュー前のKing&Prince・平野紫耀がメインキャストを務めるのは、かなりの大抜てきだが、荷が重い部分はあるだろう。そのため、初回から過去映像やホログラムで道明寺司役の嵐・松本潤を出演させるなど、援護射撃も万全……のはずだった。
しかし、これはサプライズ出演だったこともあり、第1話の視聴率は7.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と苦戦。特に、平野を含めたメインキャストについては、「知名度不足」「地味でキラキラ感が足りない」などという声が、放送開始前から引き続き多数出ている。
とはいえ、もともと「英徳学園の人気が低下し、生徒数が減少する中、かつてのF4時代の勢いを取り戻そうとしている」設定。ドラマも映画も続編モノはたいてい衰退・堕落した状況から始まるのが定番なのだから、「キラキラ感が足りない」のは、ドラマの世界観と矛盾していない。
だが、それよりも気になるのは、「道明寺の出演」という切り札を第1話で出してしまったことによる先細り感と、何より物語のキーとなる場面の見せ方に盛り上がりがないことだ。
『花男』で幾度となく繰り返されたのは、牧野つくしが道明寺を殴る名場面。今でもすぐに思い出せる人が多いだろう。
母親の手作り弁当を道明寺に踏まれ、臨戦態勢でぴょんぴょんジャンプするつくしの足元をスローモーションのヨリの画で見せ、これから起こりうる展開を想像させる。視聴者が「くるぞ、くるぞ」と期待する中、道明寺にパンチがクリーンヒットし、「自分で稼いだこともないガキが、調子こいてんじゃねーよ!」のセリフで、視聴者のイライラは解消される。
と同時に、これは、雷に打たれたような衝撃を受けた道明寺が「恋に落ちた」瞬間であることも明示される。
実に少女漫画らしいベタな展開を、徹底的にベタな演出で盛り上げてくれていたのが、『花男』の魅力の1つだった。