「介護舐めるな」と批判噴出――“訪問介護をボランティアに”財務省の提案に、現場の本音は?
「訪問介護をボランティアに」――4月11日、財務省財政制度等審議会の分科会であがった提案に、ネット上が大荒れとなった。介護は、家族だけで抱えるとパンクする、プロのサポートが必要という考えが浸透してきた現在、訪問介護を無償のボランティアが担うという案は、ネット上で「介護を舐めるな」「やりがい搾取」との批判を巻き起こしたのである。
こういった案が出てくるのは、超高齢化社会が進む中、医療費や介護費が増大しているという背景が関係している。後期高齢者の数は2030年頃まで大幅に増加することが見込まれているのに対して、保険制度の支え手となる年齢層は減少が続く。そんな中、財務省が、介護保険の分野において、調理や掃除など身の回りの世話をする「生活援助サービス」を、ホームヘルパーの代わりに地域の住民やボランティアを活用し、費用を抑えることを提案。確かに、国の介護費は膨張しており、このままでは介護保険制度が立ち行かなくなるという危惧はよくわかる。介護にかかわる人材不足も深刻だ。訪問介護を担うヘルパーの高齢化が進んでいるとも耳にする。
筆者は訪問介護における生活援助サービスの現場を、これまでに何度か取材したことがあるが、そこだけを切り取ってみると、確かにやっていることは「家事」であり、それほど介護度が重くない方でも、月に数百円の自己負担でサービスを受けているという事実に疑問や不公平感を抱く人がいても不思議ではないと思う。提案をした財務省財政制度審議会のメンバーも、おそらくそこだけを切り取って見ているのではないだろうか。さらに「単なる家事ごとき、ボランティアで十分」というニュアンスも感じられるのもちょっと引っかかる。
では、こういった生活援助サービスを、プロではなく地域住民やボランティアが担うとなると、どんなことになるのだろうか。訪問介護に携わっている関係者に話を聞いた。