TBS・宇垣美里アナを精神科医が一刀両断! ストレス回避法の“マイメロ論”は「鬱になる危険も」
――そもそも、ストレスを溜めやすいのは、どんなタイプの人なのでしょうか?
高木 マイナス思考や自己否定感が強い人、完璧主義者や気の短い人、また、他人に気を使いすぎたり人目を気にしたりする人や、プライドが高い人などで、ストレスをうまく発散する術を持たない人です。
――そのような人に、マイメロ論的思考は合いますかね……?
高木 特に、真面目で几帳面、完璧主義者の人がマイメロ論を取り入れようとすると、「マイメロ論のような考え方をしなきゃ」と、余計にストレスを溜めてしまうかもしれません。なので、あまり向かないと思います。
――では逆に、向いているタイプなどはあるのでしょうか?
高木 例えば、他人の言葉を一字一句気にしてしまうくらいあらゆることが気になる人や、全ての出来事をマイナスに捉えてしまうような人には、ある意味有効かもしれませんけれど……どのようなタイプの人であれ、マイメロ論はおすすめできるものではありません。
退行するよりプラスに考える思考を持つ方がいい
――ストレスを溜めやすい人に、有効なストレス解消法はどのようなことですか?
高木 ストレスとの向き合い方は人それぞれですが、趣味や好きなことをするというのは、やはりストレス解消に有効です。また、マイメロ論のように“ストレス回避”としての思考をあえて持つなら、“認知行動療法”の方がいいと思います。精神科の治療でもよく使われている精神療法の1つで、「自分の認知を変えて行動を変えていく」というものです。仕事で上司から仕事を押し付けられた場合、「嫌がらせだ」などマイナスに捉えがちですが、「上司は自分を信頼してくれている」「周りより仕事ができるから私にお願いしたんだ」など、見方を変えてプラスの受け止め方をすることで、ストレスを溜めないようにするんです。
中には「物事をプラスに考えることが難しい」という人もいますが、ほとんどの人が訓練すればできるようになります。例えば現在、マイメロ論を実践している人は、思考を転換できる術を持ち合わせているともいえるので、認知行動療法が身に付く素質があるかもしれませんよ。
――例えば、先ほどと同じケースで、上司の依頼を断りたいけれど、「能力が低い」と見られたり、嫌われたりするのではないかとの思いから断れず、ストレスを感じる人も多いと思うのですが、その場合はどうすればいいでしょうか。
高木 相手に配慮しながら自己表現できるコミュニケーションスキルを磨く「アサーショントレーニング」です。ムリなお願いは、受け入れてもストレスになるし、断るのも「嫌われるのではないか」「今後の仕事に響くかも」などの思いが働いてストレスに感じますよね。単刀直入に断れば、角が立つこともあります。そんなとき、自分を頼ってくれたことにお礼を述べた上で、できない理由をきちんと説明して断るなど、相手を尊重しながら自分の感情を伝えれば、無用なストレスを溜めずに解決できるようになります。そもそも、その場しのぎでできない仕事を引き受けるのは逆効果です。あとになって「できなかった」では、評価を下げることになってしまいますから。まずは「できる・できない」を正しく判断できるよう、自分のキャパシティをしっかり知っておくことが一番ですね。