コラム
【連載】オンナ万引きGメン日誌
オンナ万引きGメン、初日からカップ酒ドロボー捕捉! 保安員のセンスがあるのは20人に1人?
2018/04/28 19:00
「もう“目ができた”みたいだな。早いねえ。初日に挙げるとは、なかなかセンスあるよ」
翌日、捕捉があったことを先輩に報告すると、妙な言葉で褒められました。あとで聞くと、目ができたというのは、万引きする人が見分けられるようになったという意味で、この仕事に向いてない人、つまりセンスのない人には、いつまでたってもその目ができないといいます。
「そもそものセンスがなければモノにならないよ。確率で言えば20人に1人くらいかな。見えないとつまらないけど、見えるようになると面白いんだ、この仕事は。あと足りないのは、少しの勇気だね。きっとモノになるから、頑張りな!」
モノになるというのは、万引きする人を一瞬で見抜き、逃さずに捕捉する職人的な職員になることをいいます。信じられない話だけれど、モノになる可能性が私にはあるらしい――その言葉を信じて勇気を出してやってきた結果、どうにかモノになって、この10年で3,000人以上の万引き犯を捕捉することができました。
いまや万引き犯を見つけても、あれほどドキドキしていた心臓は余程のことが起こらない限り反応せず、脇の下から変な汗が滴り落ちることも少ないです。慣れって、スゴイですよね。こんな私ですけど、これから万引きGメンの仕事についてつづっていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
(文=智美 監修=伊東ゆう)
最終更新:2018/08/28 11:39