カルチャー
「全国宅地建物取引ツイッタラー協会」全宅ツイのグル氏インタビュー【後編】

「港区の高級マンション」なのにクソ物件!? 素人が見落としがちな“貸主”という落とし穴

2018/03/25 19:00
Photo by Dick Thomas Johnson from Flickr

(前編はこちら)

 前編では、「クソ物件オブザイヤー」を主催する「全国宅地建物取引ツイッタラー協会」の全宅ツイのグル氏(@emoyino)に、クソ物件が生まれてしまう背景を解説してもらった。後編では、クソ物件に住んでしまった人の体験談、また最近何かと話題の“タワマン”に関する意見を聞いた。

港区のデザイナーズマンションの貸主は?

 今後の人生で、「住んでみたらクソ物件だった!」となる日が来ないとも限らない。全宅ツイのグル氏が、実際にそんな物件を引き当ててしまった人のエピソードを披露してくれた。

 では、ひとつ、一般の方が見落としがちな「住んでみたらクソ物件だった!」というお話を。私の友人が賃貸マンションを借りたときのお話です。彼が新婚の奥さんと借りたのは港区の築浅の2LDKのマンション。月のお家賃は30万円を超えるいわゆる“デザイナーズマンション”でした。

 このデザイナーズマンションは、もともと分譲用として建設されたマンションで、港区でも上位のエリアに位置しておりました。またちょうどマンションの工事費が現在ほど高騰していない頃に分譲用として新築されていますので、建物の仕様も非常に高い。誰が見ても“高級”といった感じのマンションでした。

 幸せたっぷりの新婚時代に、誰もが羨む高級デザイナーズマンションに住んで半年ほどたった夏の頃、リビングの天井埋め込みの型エアコンが故障します。

 さて、賃貸マンションにお住みの皆さん、今あなたが住んでいるお家をあなたは誰から借りているのか、意識したことはありますか? あなたが誰からお家を借りているかぱっと答えることはできますか? この友人が借りた高級デザイナーズマンションは分譲用で、そこを投資用として購入した芸能会社社長が貸主でした。

 想像してみましょう。あなたは不動産の投資家です。あなたの目的は不動産に投資して、できるだけたくさんのお金をそこから回収すること。間違ってもあなたの不動産を借りている人に、上質な住居を提供して快適に暮らしていただくことではない。たった30万円のお家賃を受け取るために数十万円をかけて天井埋め込みのエアコンを修理したいと思いますか?

 そう考えたこの貸主、芸能会社社長は、借り主である友人からのエアコン修理の依頼の電話を無視し続けました。こうして私が友人と貸主の間に入って問題が解決するまでの間、彼は暑い夏を毎月30万円払いながらエアコンなしで過ごす羽目となりました。そう、毎日、奥さんに故障したエアコンをなんとかしろと言われながら。

 と、このようにですね、クソ物件は、物件そのものの物理的な状態のみならず、“誰からその物件を借りるか”によっても発生するということを皆さんには知っておいていただきたいと思います。トラブルのときにきちんと対応してくれる安心も、多少割高なお家賃に含まれると考えて、ファンド・REIT(証券取引所に上場している、主に不動産を投資対象とした投資信託のこと)の所有する物件、大手不動産会社や大手の一般事業法人が貸主の物件をおすすめします。

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