ジャニーズ子会社、アートバンク社長自殺に「デジタル化無理があった、上の理解なかった」
SMAPの解散や、所属タレントの写真・動画のネット解禁、YouTubu進出など、近年、大きな変革期を迎えているジャニーズ事務所。3月15日発売の「週刊文春」(文藝春秋)によると、ジャニーズの子会社であるアートバンクの代表取締役・伊坪寛氏が、東京・渋谷のビル内で“首吊り自殺”を図っていたという。このショッキングな報道に対し、ネット上では「ジャニーズ事務所恐ろしい……ブラック企業だね」「ジャニーズは闇が深すぎて怖い」との声が上がっている。
記事によれば、事件が発覚したのは3月5日の早朝。ジャニーズ事務所の関連会社が入るビル内で伊坪氏が自殺を遂げており、机の上には退職願と家族や幹部に宛てた遺書が残されていたそうだ。
「アートバンクは、ジャニーズ公式サイトのJohnny’s net及び有料携帯サイト・Johnny’s Webの運営や、デジタルコンテンツの配信、著作権保護を主な業務とする会社です。ジャニーズは近年、コンサートにおいて従来の紙チケットではなく、QRコードを用いたデジタルチケットの導入が進んでいました。昨年4月にデジタルチケットをめぐる大トラブルが起きましたが、『文春』によると、伊坪氏はその責任者の1人だったとか。『関係各所から厳しい言葉を浴びせられていた』とも伝えているだけに、同氏が背負った苦労は計り知れません」(ジャニーズに詳しい記者)
遺書には「仕事に疲れました」「逃げるにはこれしかなかった」といった言葉もつづられていたという。伊坪氏が亡くなった日が、ちょうど動画配信サイト・YouTubeでの「ジャニーズJr.チャンネル」開設の発表日だった点も含めて、衝撃が広がっている状況だ。
同誌の記事内では具体的な公演名は伏せられていたが、昨年4月のチケットトラブルとは、4月8日にさいたまスーパーアリーナで開催された『ジャニーズJr.祭り』の昼公演とみられる。これは、同年3月下旬に行われた『ジャニーズJr.祭り』の追加公演で、公演の直前になってデジタルチケットの導入が決まり、ファンの間で入場トラブルを懸念する声が漏れていた。
実際、当日は「機材トラブル」により入場できない観客が続出し、現場は大混乱。入場列が長蛇の列となったほか、発券ミスで手書きチケットを渡された人、発券したチケットをもとに座席へ向かうと、「席がない」と言われた人も。公演は約80分遅れでスタートしたのだが、入場できずに返金を提案されたファンもいるとの情報が駆け巡り、ジャニーズの公演でも前代未聞のトラブルと大騒ぎになった。
翌9日、ジャニーズは公式サイトで「本来、存在しない座席番号がチケットに印刷されてしまっていることが、開場後すぐに発覚いたしました。そのため、一旦全ての皆さまの入場を停止させていただき、新たなチケットの印刷を行いました」と説明し、公演を取り仕切ったコンサート事務局とヤング・コミュニケーションの連名で謝罪。デジタルチケット対応に不慣れなジャニーズの体質が明らかになった。
「実はそれまで、ジャニーズのチケットシステムは外部の会社に任せていたんですが、メリー喜多川&藤島ジュリー景子副社長がこうした体制を見直し、ジャニーズの関連会社で行うことに決めたんです。そして、関連会社の中から率先して手を挙げたのがアートバンクだった。しかし、その初回の業務で、前代未聞の大惨事を起こしてしまったわけです」(音楽業界関係者)
デジタルチケットのほか、今年3月21日にはYouTubeで動画配信がスタートするなどネット進出に意欲的だが、「急激なデジタル化を一手に担っていたので、相当な無理があったんじゃないでしょうか。メリーさんはデジタルにめっぽう弱いので、理解もなかったですしね」(同)と、社外の人間から見ても過酷な状況だったようだ。
一方、アートバンクといえば、YouTubeに上がっているテレビ番組などの動画の削除依頼を担当するほか、最近はブログ削除問題でジャニーズファンの注目を集めた会社でもあった。
昨年8月、有名なSMAPファンのブログ「さくさく」に、「ジャニーズ事務所のグループ会社」から、「著作権の侵害が行われているとのお問合せ」があったといい、後に管理人は指摘があった投稿を削除。現在、削除対象とされた投稿には「この日時に掲載していた記事は(株)ジャニーズ事務所のグループ会社、(株)アートバンク様の削除依頼により、削除しました」と、説明書きが付記されている。
「話題を呼んだ『さくさく』以外にも、削除要請が来たブログは複数あったようです。しかしこれをきっかけに、事務所に対して『言論弾圧』『ジャニーズ事務所、ほかにすることないのか』と、ファンの批判が高まってしまいました。アートバンクは事務所のネット解禁に伴う作業、デジタルチケット、ファンブログのチェックや対応といった業務を引き受けていたため、激務が続いていたのではないでしょうか」(前出・ジャニーズに詳しい記者)
メリー氏の片腕とされる重要人物の失踪報道に続き、関連会社社長の自殺と、ただならぬ展開が続いているジャニーズ事務所。いずれにせよ、故人のご冥福を心よりお祈りしたい。