『99.9』嵐・松本潤の「オヤジギャグ」を、デーブ・スペクターが辛口ジャッジ!
今クール、絶好調なドラマ『99.9―刑事専門弁護士 SEASON Ⅱ―』(TBS系)。大ヒットを飛ばした1stシーズンに続き、2シーズン目の今作も、主演の嵐・松本潤をはじめ、香川照之など、人気の顔ぶれが勢ぞろい。視聴率も上々で、今期ドラマの中ではトップを独走状態だ。
そんな無敵のドラマだが、ネット上で賛否両論を呼んでいるのが「ダジャレ」。松本演じる深山大翔が、劇中で頻繁にダジャレを披露していることが話題を呼び、「くせになる」「ジワる」といった好評の声もあれば、「うざくて集中できない」「オヤジギャグ、必要?」との嫌悪感もお茶の間から聞こえてくるのだ。
果たして、このダジャレは面白いのか? 放送するほどの価値はあるのか? そこで、日本が誇るダジャレ名人のデーブ・スペクター氏に、『99.9』に登場したダジャレについて評価してもらった。
「ダジャレだったら、野口五郎か僕だからね~」と登場したデーブ氏に、まずは、1~7話までのダジャレ(次ページにリンク)に目を通した上で総評をうかがおう。
<総評>70~80点!
もっとシビアな点数がつけられると思いきや、意外と高い採点結果に。その評価ポイントは?
「すごくくだらないオヤジギャグだけじゃなく、難しいものも入ってるね。ドラマでオヤジギャグをやるのは、ハードルが高いんですよ。真面目な視聴者もいるし、スポンサーもついてるから、問題にならないように作る。企業名は使えない、個人名や芸能人の名前を使うのもリスクがある。ストリーミングやDVD化して残ることを考えると、時事ネタはできない。下ネタもマズい。だから、もっとやりたくても“縛り”があると思うんですよ。このくらいのダジャレでも、頑張ってると思いますよ。でも、ネタならもっとあると思うけどね~」
ドラマがディスク化され、後世まで残ることを考えると「今はよくても、古くなるダジャレ」は使えない。ダジャレに使ったタレントが事件などを起こしたら、面倒なことになる……など、さまざまに考慮すると、「間違いありま千と千尋の神隠し」(4話)が固有名詞を使えるギリギリなラインだとか。
また、『99.9』におけるダジャレは、デーブ氏のダジャレと大きく異なる点があるという。
「ドラマは、なんでも言っていいワケじゃないですね。ワゴンの上に置いてある小物を手にとって、思いついたダジャレをいうパターンと同じね。アクションやストーリーに関連して、セットの中でやるから、限られてしまう。それと、僕がやってるダジャレは、皮肉と風刺。ドラマはそういう風刺はできないよね」
というわけで、ここからはデーブ氏に「これは唸った!」ダジャレと「これはヒドい」ダジャレを選出してもらおう。
【これは唸った!】
・きゅうり走り出してトマトったでしょ(急に走り出して戸惑ったでしょ)
→きゅうりとトマトを持ちながら
「これはいいですよ。よくできてる。若干わかりにくいけど、オブジェを持ってればわかる。文字がなければ伝わらないダジャレも多いけど、ドラマだと文字ナシでやらなきゃいけない。口頭だけだから、江東区だけの放送ならいいけど全国だからね~」
・めしあが、サクリスティ(アガサ・クリスティ)
→料理を出しながら
「これは非常にわかりにくいから、点数あげたい。ドラマを見てる人で、アガサ・クリスティを知ってる人もそんなにいないでしょ。これを入れたってことは、ハードルを上げてる。ドラマを作る中で何度も会議がある、これが落ちなかった、放送した心意気に点数あげる」
【そこそこ】
・いただき松本零士
「僕の『おはようございますだおかだ』『おはようご財務省』と同じで、言葉を途中から変えていくパターンですね。僕も、こういうのはシリーズで100個くらいあるよ」
・こんな動画撮るなんて、どうがしてるな
→犯行現場の映像を見ながら
「これは自分もやった。悪くないね」
・パクチ光秀(明智光秀)
→パクチー料理の弁当屋にて
「これは難しいダジャレだね。ドラマのシチュエーションを使ってるから伝わった」
【これはヒドい!】
・電話をかけても誰もでんわ
「これは……やらない方がよかったね。このダジャレで、ドラマはだいぶ損したよ! ダジャレでドラマがすべったらシャレにならない。僕は電話のダジャレはやらないよ。ありすぎてるからね~」
最後に、デーブ氏はダジャレについて、こんなことを語ってくれた。
「同じダジャレを何度も言うのは一番つらいですよ。言う人もつらいんです。そういう意味で、リハで何度も言ってることを考えると、『99.9』は偉い。だんだんしらじらしくなるじゃないですか。ダジャレを聞いた人は、『自分だったらこう言う』と、Twitterに載せたりして盛り上がるでしょ?だから、当たり前すぎるのはやりたくなくなるんですね。僕も『ワイド!スクランブル』(テレビ朝日系)でダジャレをやってるけど、凝りたくなっちゃう。ダジャレはきりがないから、どこまでこだわるか、時間をかけるかですね」