“アラフォー独身女性”は、なぜ生きづらいのか? アラフィフの亀山早苗さんに聞く
筆者がアラサーだった頃、40歳の誕生日を迎えた職場の先輩が「私わかったの、不惑ってワクワクせずって意味なのよ」と憂い顔で言うのを聞き、少なからず驚いた。その人は十分、成熟して自分の人生を楽しんでいるように見えたから。一方、時を経てアラフォーとなった自分は、成熟とはほど遠い状態にあり、でも同じくワクワクしていない。
40歳前後とは、屈託を抱えてしまう時期なのかもしれない。今冬発売された書籍『アラフォーの傷跡』(鹿砦社)を読み、ますますその思いが強くなった。本書には、ウェブサイトでの連載をもとに構成された、15人のアラフォー独身女性たちへのインタビューが収められている。
■40歳になったとき、解放感があった
著者の亀山早苗さんはこれまで恋愛関係、特に不倫関係にある男女にインタビューし、その機微をつづり、それを通して時代を切り取ってきた。いま、なぜアラフォーに着目したのか?
「ちょうど体も心も曲がり角というか、なんらかの危機に瀕する人が多いのがこの年代。アラサーもひとつの節目ではありますが、アラフォーになったときのほうが、ずっと大きく揺れます。昔は結婚する年齢も子どもを産む年齢も、平均がいまよりずっと若かったから、40歳になれば人生ひと区切りついていたのかもしれないけど、いまのアラフォーは揺れ動いている真っ最中です」
恋愛をしているのなら、いまのパートナーとこのまま交際を続けるのか結婚するのか? 不倫の恋なら、いつ終わらせて新たな相手を探すのか。仕事面でも転職するならこれが最後のチャンスと思う人が少なくなく、家族に目を向ければ、ほどなくして親の介護が始まりそう。そして、そろそろ更年期の足音が聞こえてくる……。
「女の人生が激変するかもしれない第一歩」を踏み出すのが、この年代なのだと見ている亀山さんに、自身のアラフォー時代を振り返ってもらった。当時、身体面では重度の腰椎椎間板ヘルニアや3カ月にわたる悲惨な不正出血など、相次いでトラブルに見舞われたが、精神面でも大きな変化があったという。
「40歳になったとき、『あ、これで子ども産まなくていいんだ。ラッキー』って思ったんです。私はバツイチで今後結婚する気もなく、子どもを欲しいと思ったこともないのですが、これで周囲からも何も言われなくなるんだ、という解放感がありましたね。一般的に女性・男性のほかに“産む性”というものがあると思っていて、望んだわけでもないのに、私の肩にも女性と産む性の両方が乗っかっていました。そのうちのひとつをやっと下ろせた、という感じでした」