青木さやか、離婚理由は“経済格差”発言――男女をめぐる「昭和的刷り込み」の根強さ
例えば、女優・広末涼子は、夫であるキャンドルアーティストのキャンドル・ジュンより高収入であろうが、不仲説は聞こえてこない。『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)で広末は、ジュン氏に「(家事をしてくれて)ありがとう」と声をかけると、「特別なことをしたわけじゃないから、ありがとうと言わないで」と返されたというエピソードを披露。ジュン氏に「家事はオンナの仕事」という昭和的な固定概念がないことを明かしていた。お笑いタレント・松嶋尚美も、夫でロックバンドのボーカルをしているヒサダトシヒロとは“格差婚”といわれたが、2人の子どもにも恵まれ、生活は順調そうである。
また、元SPEED・今井絵理子との手つなぎ不倫を「週刊新潮」(新潮社)に撮られた元神戸市議で歯科医の橋本健氏。妻は高校時代の同級生だそうだが、歯科医院の開業費用を妻の実家が援助したと同誌は報じている。具体的な金額は書いていなかったものの、妻は裕福な家庭に育ったと見ていいだろう。彼らは、女性の方が高収入だから、資産家家庭出身だからと憶することなく、むしろ自分の人生にプラスになると受け止めているように、私には感じられる。
青木がこれまでで一番稼いでいたのは10年前で、現在はその時の1/10の収入だと『明日は我がミーティングスペシャル』(TBS系)で話していた。10年前というと、ちょうど青木が結婚していた頃だが、かつて青木は『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)で、タクシーにまつわるこんなエピソードを披露していた。収入が上がった青木は、ちょっとした距離でもタクシーに乗るようになってしまい、それを夫にとがめられると「うるせぇ」と思ってしまうと顔芸を交えながら話していたのだ。
タクシーに乗る乗らないに正解はないし、どちらでもいいわけだが、このエピソードだけで考えるなら、青木は“夫より稼いでいること”で夫の機嫌を損ねたというより、彼女自身が「自分が稼いできたカネの使い方を、とやかく言われる筋合いはない」と思っていたのではないか。また、そう感じてしまうのは、「本当はオトコが稼ぐべきなのに、私が稼いでいる」「生活費も私が出してやってる」という考えを根っこに持ち続けていたからではないだろうか。
“男をしのいではいけない”“男がカネを出すもの”という考え方は、高収入女性に遠慮や偽装を促すが、“オンナがカネを出すべきではない”という考え方は、ときに男性に対する攻撃に姿を変えやすい。
青木は『明日は我がミーティングスペシャル』で、「生活レべルを落とすのは、難しい」と話していたが、昭和的刷り込みを捨てるのも、同じくらい難しいことかもしれない。
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。
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