アラフォー風俗嬢が見た、同棲した彼女と別れた30代男の誰も知らない「心の傷」
――男は風俗嬢にどんな姿を見せているのだろうか。恋人や友人には見せない、男たちの情けなさ、みっともなさ、滑稽さ、そして優しさをアラフォー風俗嬢がつづります。
童貞を捨てるために利用する人や、風俗でしかセックス経験のない、いわゆる“素人童貞”と言われる人が来ることも多いのがソープ。さまざまな願望、彼女や妻に言えない性癖などを解消するために、毎日毎日、いろんな男性が風俗にやってくる。
ある時、ソープに初めて来たという30代の男性客に出会った。緊張しているせいか、かなりおとなしく、淡々と話す静かな男性だった。話を聞くと、なにやら彼女と別れたばかりで、つらくてひどく落ち込んでいるのだそう。
私を指名した理由が、彼女と少し似ている体形だったから。長年付き合い、一緒に同棲をしていたそうで、今にも泣き出すんじゃないかというくらい、とても悲しそうでつらそうだった。
緊張もしているし、とてもセックスをするような雰囲気ではなく、まずはそのまま気持ちが落ち着くまで、ゆっくり話を聞いてあげることにした。それほど長くない時間、話を聞いて、男性が少し落ち着いてきた頃、「SEXはする気になれないけれど、一緒にお風呂に浸かってほしい」と言われ、湯船に入った。
狭い湯船の中で、「僕の方に背中を向けてくれるかな。彼女を思い出して後ろから抱きしめたい」と言われ、普通の女性だったら「はぁ~?」だろうけれど、ここは風俗。そんなことはお安い御用。それで癒やされてくれるのなら、喜んでする。
私ではなく、彼女だと思い込んで目をつむりながら、ひたすら抱きしめて、静かに動かない彼。彼女と一緒にお風呂に入った思い出話を、ポツリポツリと話すお客さん。
女性よりも男性の方が引きずるってよく言うけど、別れた後の、こんな元彼の姿、誰も知る由もない。男性の中には、こんなに参ってしまう人もいるんだなと、ただ黙って抱きしめられていた。
でも、ここは風俗店。緊張がときほぐれてくると、「やることやらないともったいない」と思うのか。
「できるかどうか不安だけど……」と言いながら、プレイ後のシャワータイムまでに間に合うかどうか? というギリギリの中、残り10分あるかどうかでベッドの中へ。そして、ここでも私とではなく、彼女を思い出しながらのSEXをするためにバックを希望してきた。
これはなんだか複雑な気分。たまにお客さんから「顔がブスで耐えられなくてバックで抜いたよ」って話も聞くから、「正常位じゃダメ」と言われているようで、なんか微妙な気分。でも、ひたすらバックで突いてなんとか射精に至れたので、彼女を思い出しながら興奮できたのではと思うと、任務達成感はあった。
女としての自分の存在価値は傷ついたけど。それでもお客さんのために自分を消し、そっと背中を貸す……。これも風俗の利用価値の1つと思えば仕方ない。
*曼荼羅*(まんだら)
デリヘルで風俗デビューし、出稼ぎ&吉原ソープを掛け持ちした後、現在は素人童貞などSEXに自信のない悩める男性のためにプライベートレッスンをしているアラフォー風俗嬢。子宮筋腫と腎臓の手術経験があり、現在は子宮頸がん中等度異形成持ち。売りはHカップのおっぱい。
ブログ「続・おちぶれ続けるアラフォーでぶ女の赤字返済計画」