「魔法の痩せ粉」「トクホの正体」難消化性デキストリンのナゾを医師がてってい解説!!
最近ネット上で、「難消化性デキストリン」という白い粉がダイエッターの間で話題になっている。「消化されにくいデンプンの一種」「水溶性食物繊維」などと呼ばれ、「トクホ(特定保健用食品)」飲料に入っているものとのこと。ダイエッターの間では、「値段の高いトクホ飲料を飲むより、難消化性デキストリンを自分で購入して、ご飯を炊く際やお茶、スープなどに混ぜて、毎日摂った方がずっと痩せる」とされ、男女問わず「激ヤセした!」という喜びの報告もネットで散見されている状況だ。そこで「難消化性デキストリン」の粉末を直接摂るというのは、果たしてダイエットにそこまで効果的なのか、本当に「魔法の痩せ粉」なのか、「ゴリラクリニック」総院長・稲見文彦氏に話を伺った。
――難消化性デキストリンとはどのようなものなのでしょうか。
稲見文彦氏(以下、稲見氏) まずデキストリンとは「αグルコースがグリコシド結合で重合した低分子量の物質」のことを指します。難しいので簡単に言いますと、デキストリンとは「でんぷん」の一種です。でんぷんはジャガイモや米、トウモロコシなどに多く含まれています。
そして、難消化性デキストリンとは「消化されにくいデキストリン」ということになりますが、前述のトウモロコシから作られます。トウモロコシのでんぷんをアミラーゼで加水分解し、その中から消化されにくい成分を抽出して調整した水溶性食物繊維が、難消化性デキストリンの正体です。
――難消化性デキストリンは、“糖と脂肪の吸収を抑える”トクホ飲料に入っているものですが、どういった点が、ダイエットに効果的なのでしょうか。
稲見 近年、「低インスリンダイエット」が注目されています。インスリンが急激かつ大量に分泌されると脂肪の合成が促進され、肥満につながります。血糖値が急激に上がりにくい食物(低GI食品)を摂取することでインスリンの分泌を抑え、太りにくい体にするのが低インスリンダイエット。これと同じメカニズムが、難消化性デキストリンにも当てはまります。難消化性デキストリンを摂取することで血糖の上昇が抑えられるため、低GI食品を食べているのと同じと言ってもよいでしょう。さらに整腸作用や脂肪の吸収スピードを遅くする働きもあるようです。
――トクホ飲料ではなく、難消化性デキストリンを直接購入し、飲み物に入れるなどする人が増えています。ネットでは、かなり痩せると話題になっているのですが、先生の見解はいかがでしょうか。
稲見 トクホ飲料には難消化性デキストリンを含んだものがあり、脂肪の吸収を抑え排出を増加させる効果があるといわれています。目安は1日1回、食事の際に摂取するという手軽なものですが、一般的なペットボトル飲料に比べてやや高価なのが特徴です。一方、難消化性デキストリンはインターネットなどで直接購入することも可能で、トクホ飲料と比べると比較的安価で入手することができます。安価ゆえにより手軽に、継続的に摂取したことがダイエット効果につながったのではないでしょうか。