カルチャー
『BL進化論[対話篇] ボーイズラブが生まれる場所』著者・溝口彰子氏インタビュー

BLが廃れるときは来るのか? 溝口彰子氏が語る「イケメン同士の恋愛」を描く先にあるもの

2018/02/17 17:00
『BL進化論[対話篇] ボーイズラブが生まれる場所』(宙出版)

 BL(ビーエル)とは「ボーイズラブ(Boys’ Love)」の略で男性同士の恋愛を軸とした物語ジャンルだ。作者も読者もほぼ100%女性で、サイゾーウーマンの女性読者なら一度は読んだことがある人も多いだろう。

 あまり詳しくない人からすると、BLといえば、学園モノでイケメン同士の恋愛関係の物語を想像しがちだが、最近では単に男同士のロマンスというだけではなく、現実でも実現していないような、ゲイに寛容な社会を描く作品も目立ってきているという。そのような、性の多様性がさらに広がった将来の日本社会を先進的に描いているともいえるBLの、時代による変化や未来の可能性ついて、『BL進化論 ボーイズラブが社会を動かす』(太田出版)『BL進化論[対話篇] ボーイズラブが生まれる場所』(宙出版)の著者でBL研究家の溝口彰子氏に聞いた。

■従来のBLとは違う「進化形BL」とは

 1990年代、商業的にも大きく盛り上がりを見せたといわれるBL。しかし、当時は現代よりも同性愛者に対する偏見が強く、そうした社会を反映した作品が多かったと、溝口氏は分析する。

「90年代のBL作品の多くは、男性同士の恋愛やセックスを描きながらも、『俺はホモなんかじゃない。お前が好きなだけだ』とホモフォビア(同性愛嫌悪)的なセリフを言うキャラクターが登場していました。当時は今以上に同性愛者に対する偏見や差別も強かった時代ですが、BL作家や読者がそれを疑問視せず、BLの男性キャラを実際のゲイとは違うものと規定していたんですよね。しかし、それでもまだ現実社会やゲイ雑誌よりもBLの方が男性同性愛を明るく描くことが多かった」

 当時は、今ではよく聞く性的マイノリティを指す「LGBT」といった言葉もなく、友達や家族など周囲の人たちにも打ち明けられず悩む当事者がほとんどだった。そのため、BL愛好家女性たちはゲイの現実を知らないまま、架空の美男キャラを描いたり読んだりしていた。それは、自分たちが女性であることで生じる家父長制からの抑圧をはじめとした、現実から逃避するためだったという。しかし、2000年代を迎えると、これまでとは違った新たな作風の作品が増えてきたそうだ。

「2000年代には、同性愛者である主人公たちの幸福を願う作家たちの想像力によって、まだ実現されていないゲイ・フレンドリーな人々や社会が描かれる作品群が出てきます。それらの作品の中では、同性愛者のセクシュアリティを否定、揶揄することが受け入れられない社会が到来しているのです」

 性の多様性の実現とジェンダー格差の解消に向かうヒントを与えてくれるBL作品を、溝口氏は「進化形BL」と名付けた。実社会よりも性の多様性に寛容な社会、いわば進化を先取りした世界が描かれている、というわけだ。

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