コラム
「元極妻」芳子姐さんのつぶやき 19

「借金」「薬物でハイ」「恥をさらしたくない」……元極妻が語る、ヤクザが自殺する理由

2018/02/11 17:00

 今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

■ヤクザになるしかない運命

 ちょっと古い話になってしまいましたが、1月21日に評論家の西部邁先生がご遺体で見つかり、自殺と報道されました。

 西部先生は、親友が「現役のヤクザ」と公言され、暴力団排除にも反対の立場でしたから、以前から注目していたのです。ご著書も何冊かは拝読していますが、共著を含めれば200冊以上あるそうで、全部はムリでした。

 西部先生は「東大の先生と飲むよりも、ヤクザの『海野君』と飲むほうが楽しかった」そうです。その海野さんは焼身自殺されていますが、顔だけが焼けただれていたそうで、自殺かどうかは微妙。詳しくは西部先生の『友情 ある半チョッパリとの四十五年』(ちくま文庫)に書かれています。今はだいぶ高値がついているようですので、海野さんについても触れられているブックレット『あえて暴力団排除に反対する』(同時代社)がオススメです。

 海野さんのお父様は朝鮮籍の日本の軍属で、戦後に戦犯として処刑されていて、お母様は日本人の売春婦。学校の成績はとても優秀だったのに、「ヤクザになるしかなかった」と西部先生も書かれていて、切ない気持ちになります。でも、そういう運命みたいなものを背負ってヤクザになる人は多いです。まあ極妻になるのも運命でしょうかね。

■せめて遺書を書いてほしい

 海野さんはポン中で、西部先生も「1回だけ」打ってもらったことがあるそうです。これだけでも驚きですが、西部先生の少年時代は「サボりの天才」で、「万引きの常習者」だったこともカミングアウトされています。だから、暴排についても異議を述べられてきました。こういう方が学者さんとして活躍されるのは頼もしい限りで、亡くなられたのはとても残念です。

 実は、自殺するヤクザは少なくありません。オットの若い衆や兄弟分の中にもいました。遺書もないまま自殺されると、オットたちも警察に呼ばれますし、ご遺族も困りますから、まず自殺しないでほしいし、するにしてもせめて遺書は残してほしいですね。

 オットの若い衆で、自殺の兆候などまったくなかったコが拳銃自殺した時は、元カノのところまで警察が行き、大騒ぎになってしまったのです。オットも「力になってやれなかった」と、とても落胆していました。私も自殺するとは思っていませんでしたが、いつも黙って何かを考えている感じではありましたね。理由は今もわかりません。

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