「発達の遅れを指摘された」保育園にクレームを入れ続けた“モンペママ”の悲痛な叫び
待機児童の解消を目的とした小規模保育所は、施設が狭いために、満2歳までの保育しか行わないケースがほとんど。この場合、空きを求めて第二の保活が必要となる。香住さんは、「この時、仕事を辞めて保育園ではなく、幼稚園に転園すればよかったと後悔しています」と語るが、その言葉の裏には、転園先の保育園への不信感があったようだ。
その保育園は、保育士の目が届く人数だった小規模とは違い、大型保育園のため園児数も多い。また縦割り保育を導入し、2~5歳児までが同じ部屋で合同保育を行っていたという。まだ“ママ”、“クック(靴)”というような単語しか発せられない2歳児にとって、部屋中を走り回る5歳児は、個体差が大きくぶつかった時など危険なケースも想像できる。活発に遊ぶ園児とは違い、仲の良い女児同士で人形遊びのようなままごとを好む香住さんの娘は、何度か園児同士のトラブルに巻き込まれた。
「一緒にお風呂に入った時に、娘の首に引っかき傷ができていたんです。耳の後ろらへんが蹴られたように赤くなっていたことも。迎えに行った時にも保育士から言われなかったので、次の日に担任に聞いたら“昨日は別の保育士が担当だったので聞いておきますね”の一言で済まされたんです」
それから、園や保育士の事務的な態度が気になりだした。「確かに、保育という仕事はしているのかもしれませんが、それぞれの園児に対してのフォローができていないと感じた」と語る。
それでも、4歳まで保育園に通い続けたが、ある時、香澄さんの娘が、髪に米粒のようなものを付けて帰ってきた。洗ってもくっついてなかなか取れず、保育園に説明を求めても「ちょっとわかりません。手についていたものがついたのかも」という返答だったという。このことがきっかけで、朝の登園時も娘がぐずるようになり、退園を決意。「園で一緒だったママ友にも相談したのですが“そういうことあるよね”という一言で済まされてしまいました。みんな揉めたり、目立つのが嫌みたいなんです」と落胆する。
香住さんは「探せばまた見つかるからと、百貨店の仕事も辞めました。それよりも、自分の娘は自分で守るしかないなって気づいたんです。いまは、娘といられる時間の方が大事です」と語る。彼女は、小学校入学までの残り1年を自宅育児で過ごす予定で、その代わりに保護者が同伴できるような習い事を始めるつもりだそうだ。
彼女もまた、見る人によっては「モンペママ」なのだろうが、子どもを思う気持ちが行き過ぎた結果という面もあるのかもしれない。預かり時間によっては、1日の大半を過ごすことになる保育園に対し、親はどういう姿勢で向かい合うべきか、あらためて考えさせられる。
(文=池守りぜね)