にゃんこスター・アンゴラ村長、大先輩・モモコへの発言に見る「自己中」「今どき」な思考回路
2人目の“今どき”の人。それが『キングオブコント2017』で、一躍、時の人となった、にゃんこスターのアンゴラ村長である。顔のパーツこそ違えど、大きく見開いた目と、口をとがらす仕草が、往年の広末涼子を思わせて女性の敵が多そうな印象を受ける。アンゴラ村長は23歳と若い分、“今どき”感が山崎アナより強いのだ。
『ナカイの窓』(日本テレビ系)は、芸能人のトーク内容をもとに、専門家が「心理学的に〇〇な人」という診断をつける番組だが、12月6日放送の回は、いつもと趣向が異なり、ドッキリを敢行。心理学者が、ゲストのハイヒール・モモコを「威圧的なので、これからの時代、危ない人」と断言、ゲストMCの次長課長・河本準一、モモコがそれに反発するというヤラセのケンカを繰り広げ、平成生まれの女芸人(アンゴラ村長、ガンバレルーヤ、たまかつなな)が、どう対応するかで深層心理を見るという内容だった。
たかまつは「先輩風を吹かしていると思ったことはない」、ガンバレルーヤは「番組前に、どんどん言いたいことを言っていいと言ってくださった」と、モモコが“してくれたこと”を披露し、モモコを擁護する。しかし、アンゴラ村長は「今日、ごはんに連れて行ってくださいって言おうと思いました」と、1人だけ“自分の気持ち”を話しているのである。
おそらく「『ごはんに連れて行ってください』と言いたくなるほど、優しい先輩」と言いたかったのだと思うのだが、お笑いの世界でよく言われる「先輩が払う」システムからすると、食事に連れて行くメンバーを決めるのは、先輩(この場合、モモコ)であって、アンゴラ村長ではない。「先輩に食事に連れて行ってもらって、うれしい」という思考回路が旧式、「誘われたから、行っただけ」という思考回路が山崎式だとすると、アンゴラ村長はもっと進んで「優しい先輩だから、食事に行ってやってもいい」という、さらに進んだ“今どき”の思考回路といえるのではないだろうか。
自分から食事をねだるのは、オトコ芸人には喜ばれるだろうが、共演回数の少ない同性の先輩だと図々しいと思われる可能性もある。しかし、後輩の頼みを断ると先輩の了見に関わるので、表向きは「いいよ、連れて行くよ」となるのが同性の怖いところである……が、書いているうちに気づいた。こういう人は、自分中心なので、怖さなんてまるで感じない。一発屋の気配濃厚だが、アンゴラ村長は案外生命力のある芸能人になりそうだ。
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)、最新刊は『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。
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