『X-メン』シリーズ監督、少年への性的虐待疑惑が膨れ上がり、ついにハリウッド追放か
そして16年6月、米「ニューヨーク・マガジン」電子版に掲載された、俳優ノア・ギャルビンのインタビューが、この疑惑をより大きなものにする。「ブライアン・シンガーは小さい男の子たちを自宅プールに招いて、夜暗くなってから騙してファックするんだよ(笑)。自分は、そういうのには関わりたくない。ロサンゼルスでは、チャンスをつかむためならなんでもするようなホモセクシュアルがいるんだよね。ニューヨークのゲイ・コミュニティはとても健康的だけど、ロサンゼルスはそうではない」と語ったノアの発言が、掲載後すぐに削除されたのだ。同マガジン編集部は「このような論議を招くような発言は削除したほうがよいと決断した」と弁解するも「ブライアン=ペドフィリアの強姦魔」という噂はどんどんと膨れ上がっていった。
ハリウッドでは、ディズニー・チャンネルやニコロディオンの番組にレギュラー出演する子役はアイドルとして大ブレークするし、テレビコメディやドラマなどで子役が人気者になり、破格のギャラを手に入れて大成功を収めることがよくある。当然多くの子役たちがこれを夢見ており、彼ら・彼女らを「有名にしてやる」という言葉で釣って性的に搾取する犯罪が、ハリウッドで横行しているとのうわさは、長年まことしやかにささやかれていた。
今年10月、ハリウッドの重鎮で権力者として知られていた映画プロデューサーのハービー・ワインスタインが、過去30年にわたって女優やアシスタントに性的嫌がらせをしたとメディアに暴露され、ハービーが失脚した後には、女優たちが「キャリアアップと引き換えに、体の関係を迫られた/強要された」と告発し始めた。
この流れに乗ろうとしたのが、ドキュメンタリー『An Open Secret』の制作者たちだ。ハリウッドでの成功を夢見る少年たちが、業界の男たちにどのように性の餌食にされてきたかを告発した作品で、14年に作られた。当然ながらハリウッド配給会社などの協力はまったく得られず、多くの人に見てもらう機会をつくれなかった。「ハリウッドの闇を暴こうという声が高まっている今なら」ということで、10月12日にVimeoで配信を開始。最初の2週間で300万人が視聴するヒットとなった。
そして29日、アカデミー俳優のケヴィン・スペイシーから14歳の時に性的行為を強要されそうになったと俳優のアンソニー・ラップが暴露。その後、次々とケヴィンに性的行為を強いられたと告発する男性が現れ、彼の悪事もこれまた長年にわたる公然の秘密だったことが発覚し、ますます『An Open Secret』は注目を集めた。