経血コントロールは“できなくはない”が……「膣の中で雑菌が繁殖」など怖~いデメリットも
――経血コントロールができるという人たちの間では、背すじを張って骨盤が歪まないようにしたり、便座で前かがみになって踏ん張ったりすることで、一度に排出する量を増やして生理期間を短くするといわれていますが、そのようなことはあり得ますか?
松村 あり得ませんね。「子宮内膜が徐々に剥がれて生理になる」というメカニズムが変わらない以上、どのようなことをしても、一度の排出量を増やしたり、生理期間を短くしたりすることはできません。
――昔の人の生理期間は短かったというウワサから、「甘いものや脂っこいものなど現代風の食事をやめ、野菜を中心に、鉄分などミネラルの多い食生活へ切り替えると、生理が軽くなる」ともいわれています。
松村 鉄不足だと内膜がうまく作られずに生理がダラダラ長引くことはありますが、食事で経血の量や生理期間をコントロールすることはできません。よって、あり得ないです。
――生理を早く終わらせたい人向けに、「タンポンで膣内の経血を直接吸い取る」という裏技を唱える人もいるのですが……。
松村 それもあり得ません。そもそも、生理の量や期間は体質とホルモンの状態によるので、自らどうにかできるものではありません。個人差はあるものの、20~30代は割と安定していて、生理期間は3~7日ほどが一般的。極端に短くなったり、急に量が増えた、長くなったというときは、無排卵やホルモンバランスの乱れなど、病的な問題を抱えている状態のこともありますよ。
■生理への「理解」と「思いやり」が足りない
――先生のクリニックに、「生理を短くしたい」「量を減らしたい」との理由で来られる方はいらっしゃいますか?
松村 あまりいらっしゃいませんね。激しい生理痛や過多月経の治療としてピルを服用したら、結果的に期間や量が減ります。その際、逆に生理期間が短くなったり、量が減ったりすることを“心配”される方が多いです。
――先生自体は、経血コントロールについてどう思われますか?
松村 そもそも完璧にできるものではないけれど、できたとしても、する必要のないものだと思いますね。
――男性の中には生理に理解のない人も多く、悩んでいる女性も少なくないようです。そこから「コントロールしたい」という思いに発展する女性もいるのかと。
松村 日本の男性は生理について知る機会が少ない上、諸外国に比べてスキンシップも少なめなので、理解が乏しいのかもしれませんね。生理は、根性論で我慢するべきものではないということも含め、もっと勉強してもらいたいと思いますが、一番大切なのは、相手を思いやる気持ちと、理解しようとする姿勢ではないかと思いますよ。
(取材・文=千葉こころ)