経血コントロールは“できなくはない”が……「膣の中で雑菌が繁殖」など怖~いデメリットも
毎月やってくる生理にうっとおしさを感じている女性は多いもの。しかしインターネット上では、「経血の排出はコントロールできる」とのウワサがまことしやかにささやかれており、「何年も生理用品を買ってない」「トレーニングすればコントロールできる」といった声も散見される。また、経血コントロールの方法を具体的に説明するブログなどもあり、そこには、「子宮内膜が剥がれる感触や、子宮が収縮するタイミングを察知したり、膣を締めて経血を溜めたりしたのち、トイレで腹圧をかけて一気に出す」といったことが書かれている。さらに、コントロールができると、生理期間も短くなるとのこと。果たして、経血コントロールはできるものなのか? 成城松村クリニック院長で婦人科医の松村圭子先生に、真偽のほどを伺った。
■経血はある程度溜められるが、リスクが高い
――まず、生理のメカニズムを教えてください。
松村圭子先生(以下、松村) 子宮では、赤ちゃんを迎える準備として、生理が終わってから「子宮内膜」が作られます。ただ、受精卵の着床がないと子宮内膜は徐々に剥がれ落ち、子宮の収縮で押し出されて排出されます。これが経血ですね。
――「経血コントロールができる」という人が言う「子宮内膜が剥がれたり、子宮が収縮したりする感触」は、察知できるものですか?
松村 子宮内膜が剥がれる感触はまずわかりません。子宮の収縮も、生理痛として現れることはありますが、「今収縮した! よし、トイレに行って排出しよう!」なんていうふうに、タイミングがわかるものではありません。
――では、「膣を締めて経血を溜める」ということは、体の構造的に可能なものですか?
松村 骨盤底筋を鍛えて、経血の出口である膣を締めれば、ある程度は溜められるかもしれませんね。実際、昔は一部の女性はできていたと書かれた本もあります。ただ、生理用品がないとか、生理になると幽閉されるとか、生理で困る状況にカラダが順応して身についた術のようですし、それも一時的に溜められた程度で、量が多ければ漏れるなど、完全なコントロールができていたわけでもないようです。
――もし我々、現代人がそれをできたとして、経血を膣内に溜めることでカラダに悪影響などはないのでしょうか?
松村 ありますよ! 経血自体が雑菌の格好のエサなので、膣の中で雑菌が繁殖してしまいます。溜まった経血が逆流すれば、子宮内膜症の原因にもなります。また、仮に経血コントロールができたとしても、溜めた経血を漏らさないよう、膣を締め続けた状態で行動しなければならないので、股になにか挟んだような変な歩き方になりますよね。メリットは月に数百円の生理用品代が浮くくらいで、リスクの方が格段に高いです。