赤羽に若い“キラキラ女子”が殺到!? ディープすぎる街で「インスタ映え」スポットを調査
ワニダさんは、タイ料理居酒屋「ワニダ2」のママで「赤羽の核爆弾」と呼ばれる強烈なキャラの持ち主。客に対して「シネバイイノニ!」「バカジャナイノ!」などと大声で罵倒し続けるそうです。しかし、「ワニダ2」は、基本的にいつも鍵がかかっており、お店に入れるかどうかはワニダさんの気分次第。意外と駅からすぐ近くの場所にある同店に行ってみると、ちょうどワニダさんがお店のドアを全開にして開店準備をしているタイミングでした。「入ってもいいですか?」とおずおずと尋ねると、「イイヨ!」と意外と静かな声で返してくれました。
お通しをつまみながら、メニューに書いてあった「まんこ汁割」(焼酎のマンゴージュース割)を飲んでいますが、ワニダさんは仕込み作業でもしているのか、ぜんぜん話しかけてくれません。私たちのような観光気分の客を警戒しているようにも感じます。しばし探り合いの時を過ごしていましたが、常連と思われるオジサン客が勢いよく入ってきたことで店内の空気は一変。カウンターにどかっと座った恰幅のいいオジサンがデカい声でワニダさんに話しかけると、早速「飲むんじゃネーヨ!」「バッカジャネーノ!」とのレスポンスが。さらに次々と常連客が入ってきてカウンターは埋まり、毎日来ているというお客さんに対して、ついに「シネバイイノニ!」が店内に響き渡りました。空気がほぐれたところで、ワニダさんに「なぜ赤羽でお店を?」と聞いてみると「観光キテ帰れなくなった!」と即答。続いて「赤羽のいい所は?」と聞くと、「区役所! ちゃんと案内してくれる! 私はほかの区でヒドい目にあったんだヨ!」と、斜め上の意見を述べてくれました。
「でも赤羽はいいところ。みんな優しい。みんな飲んべえだから……」と引き続き赤羽の良さを語っていると、常連客たちは「その通り!」「赤羽最高!」と大盛り上がり。ワニダさんは「アタシがしゃべってるんだヨ!」「おめえらウルセー!」「シネバイイノニ!」とイライラ顔で叫びはじめました。
最初は強烈な毒舌と思ってましたが、ずっと聞いていると、確かにウルサくて死ねばいいような客ばかりなので、ワニダさんはまともなことを言ってるだけなんじゃないかなと思えてきました。結局、「ワニダ2」には3時間くらい滞在しましたが、当然のようにオシャレ女子は姿を見せず。ワニダさんの虜となって赤羽のネオンに背を向ける頃には、運動後のような疲労感でいっぱいでした。やはり一筋縄では行かない街、赤羽。実際に行ってみると、若い女性に人気どころか中年の酒好きなおっさんだらけで、わずかに存在するキラキラ女子は庶民的な風貌のおじさんに絡まれ、非常につまらなさそうな顔をしているのが印象的でした。赤羽は、「山田孝之も石原さとみも行ってたし〜!」ぐらいの軽い気持ちで訪れる場所ではないようです。
通な“赤羽女子”を目指すなら、ワニダさんに「シネバイイノニ!」と一喝される覚悟を持って、訪れてみてください。
(藤野ゆり/清談社)