赤羽に若い“キラキラ女子”が殺到!? ディープすぎる街で「インスタ映え」スポットを調査
「オシャレ女子がいま注目してるエンターテインメント・タウンは“赤羽”!」そんな記事を読んで、思わず漏れでた感想は「本当か?」の一言でした。
東京の中でも、限りなく埼玉に近い場所に位置する北区・赤羽は、昭和の頃からボンヤリと栄えてきた飲み屋街が印象的な下町。現在の横丁ブームの元祖ともいわれておりますが、そう簡単にくくるにはあまりに異質すぎるスポットです。そのあたりのなんともいえないテイストは、清野とおるのマンガ『東京都北区赤羽』(双葉社)に克明に描かれて話題となり、山田孝之主演で映像化もされたので、サブカル好きな不思議女子が群がっている、ということなら理解できます。
でも、この記事によると、若くて可愛い“オシャレ女子”が、赤羽に通いつめて飲み歩いているという。にわかには信じられません。そこで、実際に赤羽に繰り出し、その真相を確かめてみることにしました。
■オシャレ風なお店は閑古鳥
週末でもなく、平日ユルめの空気が漂う木曜日の18時半、いまだに埼玉の実家から抜け出せない貧困ライターの筆者(27歳)と友人の女性ライターT(26歳)は赤羽駅に降り立ちました。マンガやドラマで赤羽の底知れぬディープさは知っているものの、ふたりとも今回が初上陸。普段は新宿界隈の安居酒屋で飲んで満足している私たち。六本木あたりで頻繁に女子会を開きフォトジェニックを連呼しているようなキラキラ女子とは、常日頃から縁がありませんが、本当にこの雑多な街、赤羽にもキラキラ女子が生息しているのでしょうか……? ひとまず赤羽のシンボル的存在「一番街」へ向かいます。
東口の改札を抜けて数歩進むと、すぐに「一番街」の看板が目に飛び込んできました。まだそれほど人は多くないですが、この時刻で既にほろ酔い顔の人々がフラフラと歩いています。一番街のお店は、どこも明るく大衆的な居酒屋で、赤羽ビギナーでも入りやすい雰囲気。立ち並ぶ店を軽くのぞいてみましたが、地元住民らしき常連っぽいオジサンや、仕事終わりの気だるい空気をまとった中年サラリーマンだらけで、若い女性の存在は確認できません。うん、そりゃそうでしょう!
渋谷や代官山あたりにありそうな小綺麗なワインバルを10倍くらいに薄めたようなオシャレ風なお店も並んでいるのですが、そういったお店は閑古鳥が鳴いており、やはりこの街では昔ながらの親しみやすい店がウケているようです。
そんな赤羽一番街で、行列ができていたのが老舗おでん屋「丸健水産」。おでん鍋の前に立つおばさんに注文して、店の前のテーブルで立ったまま食べるというラフなスタイルのお店ですが、東京メトロのCMで石原さとみも訪れたそうで、寒い中、10人以上が列をつくっています。
ここでやっと、行列に並ぶ20代の若い女性を発見! オフホワイトのベレー帽に、ふわふわした素材感のピンクベージュのアウターをまとい、隣の彼氏と思われるメガネ男子の袖をつかんで「どれにする〜?」と甘ったるい声を出しています。CMで気になったからといって、わざわざ石原さとみのようなファッションで来る必要もないと思うのですが、彼女にはこのおでん屋がモテ感満載のオシャレスポットに見えるのでしょう(確信)。
そんな石原さとみフォロワーの白い頭を眺めながら10分ほど並び、いざオーダー。おでんのカウンターを仕切るのは妙齢のおばさま2人。次から次へと飛び込むオーダーですが、「ちょっと待ってね!」と勢いで制し、あわてることなく、かたくなに自分の接客ペースを崩さない姿勢が、さすが貫禄を感じます。