美容アカウントの異様な熱狂――Twitterで“美人になりたい女”の権力争いが勃発する理由
2015年、Twitterユーザーの女子の間で一大旋風を巻き起こした“キラキラ女子”を覚えているだろうか。ハイスペックで優しい彼氏や取り巻きの男を従え、贅の限りを尽くした生活を送る若くて容姿端麗な女子――彼女たちの日常をつづったツイートには、たくさんの批判が寄せられたものだが、一部熱狂的な信者を生み出したのも事実だ。
しかし15年末、キラキラ女子アカウントの代表的存在だったばびろんまつこ氏が、詐欺と商標法違反で逮捕。セレブツイートが、全て“虚飾”だったことが発覚し、同時にTwitter上のキラキラ女子ブームは去っていった。
■何が何でも美しくなりたいという強迫観念
そして、そんなキラキラ女子に取って代わるように、現在一部のTwitterユーザーの女子から注目を浴びているのが、“美容アカウント”である。主に化粧、スキンケア、ダイエット、整形など、美容に関する情報をツイートするアカウントで、「美容垢」と呼ばれている。
アカウントの主は、中高生から20代の女子が中心で、「このコスメがよかった」「○○というサプリは美白効果が高い」などといった情報のほかに、石原さとみや乃木坂46・白石麻衣といった芸能人の化粧分析、自身のダイエット記録などをツイートしている。一見“美容意識の高い女性”というだけで、キラキラ女子のようなインパクトはないように思えるが、彼女たちのツイートを読んでいると、「私はブスだから、努力して何が何でも美しくなければいけない」といった強迫観念を感じる。その一方、美容意識の低い人を見下すツイートも散見されるのが特徴である。
美容アカウントの中には、フォロワーが数万人を突破する者も生まれるなど、まるで教祖と化している者も存在する。2ちゃんねるの「美容、整形アカウント」という掲示板では、特定の美容アカウントがウォッチ対象となっており、顔を晒してないアカウントの顔写真が流出すると、「あんないばってツイートしてたのに、ブスだった」などと嘲笑されるケースも。“あのアカウント主は、実際にどんな顔をしているのか”は大きな関心事のようで、ネット上では「美容垢の中の人はブスばかり」などと偏見の目を向ける者も少なくない。