米倉涼子『ドクターX』、5年ぶり「2話連続20%割れ」の非常事態招いた“2大要因”
テレビ朝日のキラーコンテンツとして君臨する、米倉涼子主演の連続ドラマ『ドクターX~外科医・大門未知子~』第5シリーズ(木曜午後9時~)の雲行きが、どうにも怪しくなってきた。
初回20.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)で貫禄のスタートを切ったものの、第2話は19.6%で大台割れ。10月26日放送の第3話では、19.0%とさらに下げてしまったのだ。同ドラマが2話連続で20%を割ったのは、まだ、その人気が定着していなかった第1シリーズ(2012年10月期)以来、5年ぶりの非常事態。同シリーズは平均 19.1%に終わっているものの、第2シリーズ(13年10月期)以降は、ほとんどの回で20%超えを果たしてきた。一体、同作に何が起きているのか?
「『ドクターX』自体、視聴者にマンネリ感があるのは事実。ただ、このドラマは水戸黄門ばりの“勧善懲悪”が魅力で、マンネリは、それほど視聴率低下に影響していないでしょう。今シリーズが不評の要因は、まず第一にキャスティング。第4シリーズでレギュラーから外れ、視聴者から“待望論”が出ていた、海老名敬医師役の遠藤憲一が復活したのはよかったのですが、朝ドラ『わろてんか』(NHK)との掛け持ちのためか、出番が少なく、ファンの溜飲は下げられていません。また、脇役ながら、いい味を出していた“ドクターY”こと加地秀樹医師役の勝村政信が外されたことに対し、失望の声が多数出ています。そして、最もキャスティングミスと言えるのは、猪又孝医師役の陣内孝則。これには、『演技がヘタすぎて見ていられない』『「ドクターX」には似合わない』などとブーイングが起こっています。特に第3話は、猪又医師をメインとしたストーリーだったため、視聴率が悪かった“戦犯”と言えそう。第2話では、アンチの多い野村周平(伊東亮治医師)がメインとなりましたが、この起用も不評だったようです。米倉と同じ事務所で、バーター出演している秘書・中谷恵子役の是永瞳も、『ルックスがイマイチで、“セクシー秘書”には適任じゃない』との声も出ています」(テレビ誌関係者)
ただ、視聴率がこれまでより低調な理由は、キャスティングミス以外にもう1つあるようだ。
「今シリーズの脚本は、林誠人氏、寺田敏雄氏、香坂隆史氏による3人体制。第1シリーズから、携わってきた“功労者”の中園ミホ氏が外れたことに懸念がありましたが、やはり、その不安が的中してしまった感がありますね。医療ドラマなのに、医療に関わる描写が減ってコメディ化しています。『大門未知子が、いかに優秀な外科医であるか』が目立たなくなり、ストーリー自体かなり軽いイメージになったのも、不評の要因でしょうね」(同)
ここまでの脚本は、初回と第3話が林氏、第2話は寺田氏が担当したが、重要なキーパーソンだった中園氏が手掛ける来年のNHK大河ドラマ『西郷どん』は、すでにクランクインしており、いまさら同氏に“助っ人”を要請するのは、もはや困難だろう。だが、キャスティングについては、ここからでも修正は可能。不評の陣内は退場ないしは閑職に追いやって、スポットでも勝村を復活させれば、視聴者の反応も変わるはずだ。
低調とはいえ、19%台は、ほかのドラマの追随を許さない。しかし、この数字にあぐらをかいて、今後“無策”でいくようならば、第2シリーズ以降続けてきた“平均視聴率20%台”を維持するのは難しいかもしれない。
(田中七男)