カルチャー
中島恵氏インタビュー【前編】

レゴランド低迷が示す「ディズニーランドが強い理由」! 消えたテーマパークの失敗例

2017/10/21 17:00
レゴランド・ジャパンオフィシャルサイトより

 今年4月1日、愛知県名古屋市港区の金城ふ頭に「レゴランド・ジャパン」がオープンした。デンマーク発祥のブロック玩具メーカー「レゴ」が造る国内初の体験型テーマパークとして、鳴り物入りで開業したものの、当初から「規模が小さいのに、入場料が高すぎる」「園内の食事メニューが高い。しかも食べ物・水筒持ち込みNGはあり得ない」などと批判が巻き起こることに。

 レゴランドは、世間の声に応えるべく、開業2カ月を前に、家族向け割引1日パスポートを販売し、飲み物の持ち込みも可能に。さらに、夏休み期間、年間パスポート所有者は2人まで無料で一緒に入園できる割引サービス、近隣県在住者向け割引の実施など試行錯誤を続けており、今年9月には、「来場者数延べ100万人突破」を発表。この数値は「予定通り」というが、今後入場者数が伸びるのか、下降していくのか、今もなお世間の注目を集めている。

 しかし、レゴランド以外のテーマパークが順風満帆かといえば、そうではないようだ。東京経営短期大学専門講師で、『テーマパーク産業の形成と発展』(三恵社)などの著者・中島恵氏は「日本のテーマパークは、東京ディズニーリゾート(TDR)とユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)という2トップが抜きん出ているだけで、大半は経営状態が悪いんです」と語る。

「テーマパークは、カップルやファミリー層向けの施設と位置づけられますが、若者の恋愛離れや結婚しない人の増加、少子化などによって、来場者数が減っています。またエンタメ産業が多岐にわたり、分散化しているのも、テーマパーク低迷の要因として考えられます。六本木ヒルズや東京スカイツリーのソラマチタウンのような無料の観光施設が全国に増え、テーマパークの強力なライバルになっています」(中島氏、以下同)

 今回は、中島氏に、問題を抱えて潰れていったテーマパークを振り返るとともに、レゴランドの今後について語ってもらった。

■ディズニーランドを知ってしまった日本人

 日本では、これまでに数多くのテーマパークが潰れていった。中島氏は、その大きな要因として、「多くの日本人がディズニーランドを経験していること」を挙げる。

「例えば、1997年に開業し、2008年に経営難で閉園した岡山県倉敷市の倉敷チボリ公園。デンマークにある最古のテーマパークをモデルにしており、現在でもデンマークでは成功していますが、とにかく“ショボい”と感じるんです。まず面積自体も狭いですし、子ども用の小型のアトラクションばかりで、ジェットコースターも“絶叫系”ではない。では、なぜショボいと思ってしまうのかといえば、ディズニーランドを知っているからなんです。ディズニーランドが大成功を収めている日本とアメリカでは、ほかのテーマパークが伸び悩む傾向があると思います」

 ディズニーランドが立派に見えるのは、事業にかける資金が、ほかのテーマパークとは比べ物にならないからだという。例えば、レゴランドの総投資額は約320億円だが、一方でディズニーランドは、シーのアトラクション「トイ・ストーリー・マニア!」「タワー・オブ・テラー」は、それぞれだけで約210億円かかっているそうだ。

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