田村淳、「青学受験」宣言に見るズル賢さ――まるでOLのような芸能人としての歩み
羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな芸能人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。
<今回の芸能人>
「青山学院大学への合格を目指します」ロンドンブーツ1号2号・田村淳
(Abema TV特別番組、9月23日)
ロンドンブーツ1号2号の田村淳を初めてテレビで見たのは、『急性吉本炎』(TBS系)だった。街行く一般人の女性にカードを引かせて、当たりが出れば現金を進呈、ハズレだと淳がビンタするという企画で、私には何が面白いのかさっぱりわからなかった。しかし、この企画で淳は名前を売り、以降“ガサ入れ”と称して、彼氏に代わって彼女の浮気を調査するなど、シロウトの女性いじりに特化していく。
そんな淳は、「芸人は売れるとモテるが、淳は売れる前からモテていた」「淳と連絡を取りたい女性数名が、携帯電話を買い与えていた」「貢がれていた」といったエピソードが暴露される人物だ。また、『しゃべくり007』(日本テレビ系)に出演した際、淳は、一夜だけ関係を持った女性の数を聞かれ、「カップラーメンの値段4個分」と答えたこともある。女性タレントには、このような質問がされないことから考えると、不特定多数の女性とセックスすることは、男性にとっては名誉なのだろう。モテる淳を“オトコの中のオトコ”と羨望のまなざしで見る人もいるだろうが、淳の芸能人としての歩みは、“オトコの中のオトコ”というより、OLのように私には感じられる。「こういう人いた」という既視感がすごいのだ。
例えば、ジュニア・ベジタブル&フルーツマイスター「通称野菜ソムリエ」という、モデルの長谷川理恵が先駆けて取得した資格を、淳も取得している。モデルは体が資本であることを考えると、長谷川の資格取得は辻褄が合っているし、仕事が増えることも目に見えている。が、淳がこの資格を取っても、芸人として特にプラスになるとは考えにくい。となると、野菜そのものの仕事がしたいというより、資格という権威や頑張った証拠がほしかったのではないかと思えるのだ。
仕事を覚えた中堅OLが、資格取得にハマることがある。資格取得といえば、転職やキャリアアップを連想するのが一般的だが、仕事に直結しない資格ばかり取る人がいるのだ。今いる場所はキープしつつ、その集団の中で「ちょっと違う高い意識を持ったワタシ」をアピールする手段として、資格という権威が有効だと考える人がいるのである。
淳のこうした権威へのあこがれは、オンナ選びにも反映されているのではないだろうか。かつて『真夜中の大かま騒ぎ』(フジテレビ系)において、淳は「女優と結婚したい」と発言。司会の明石家さんまが「オレは女優と結婚した」と言ったところ、羨望の声が上がっていたのを見ると、男性にとって「女優と結婚する」というのは、一種のステイタスなのだろう。
女優ではないが、淳はそれ以上のステイタス保持者、アジアの歌姫・安室奈美恵との熱愛が発覚する。安室のために、キッチンが充実したマンションに引っ越したともいわれた淳だが、結婚について尋ねられると「日本式の結婚を信じていない、フランス式の事実婚スタイルがいい」と答えた。この答え方も本当にウマいとしか言いようがない。結婚を考えていないと言えば、格上の彼女に失礼だし、だからといって、軽々しく結婚したいといえば無責任である。結婚制度そのものを悪者にすれば、ステイタスホルダーのカノジョを傷つけない形で、自分の意見を通すことができ、淳は権威を利用して、自分のイメージをよくすることに成功している。