コラム
【連載】別れた夫にわが子を会わせる?

司法試験の勉強中に出産、別居婚の夫が育休2カ月半取ったが……【別れた夫にわが子を会わせる?】

2017/09/01 15:00

 夫のそんな奮闘とは別に、2人やそれぞれの家族との関係は、より一層、壊れていく。

「結局、夫の家族は生まれた孫には半年近くも会いに来ませんでした。もちろん、関係修復のために努力はしました。だけど、何をやってもダメで解決の目はまるでなく、育児をしながら受験勉強をしていくために、平穏な生活を守るには、彼の家と関わるのはもうやめようという落ち着き方しかないのだと考えました。

 でも、義父母との関係だけでなく、夫は、私の親との関係まで損なってしまいました。ささいなことがきっかけだったとはいえ、誤解を招くことが重なって、双方歩み寄りができないところまで、追い詰められていったのです。

 その一方で、彼は東京から北陸まで、月に1回は、私たち親子に会いに来てくれました。2カ月半の育休の成果なのか息子は彼に懐いていて、毎月1回くらいしか会わないのに、彼が来たら笑顔をこぼしていて、『パパと息子の絆を断ってはいけないし、保っていかねば』と会わせるごとに思っていました」

 そうした父子との関係とは裏腹に、2人や双方の両親との関係は悪化の一途をたどった。

「一人暮らしで寂しかったのか、彼はお酒に逃げるようになっていました。しかも、酔うと、次々と暴言を吐いてくるのでタチが悪い。困難について話し合うとき、だんまりを決め込んでしまうという癖も相変わらずで、もう辟易という感じでしたね。全てのトラブルに通じますが、だまりこんで解決を先延ばしにするので、ますます修復困難になっていくのです。

 出産から半年後の時点で離婚が頭によぎっていました。離婚の話をしたときの言葉は忘れられません。彼は、『息子のことを覚えて生きるのはつらい、だから息子のことを忘れるために養育費は払わないね』と言うのです。私は乳児を抱えた受験生、要は無職でしたからね。彼と離婚するには一筋縄じゃいかないなと直感しました。だから、離婚という二文字は封印し、円満な別居生活を過ごしていたと思います。

 変な話ですが、北陸での暮らしは、実質的な母子家庭生活ですが、すっかり満喫していました。保育園の運動会等の行事にも参加していましたし、そのころには信頼し合えるママ友もできていました。

 夫婦問題は一時的に凍結して受験勉強に励み、それとともにひと月に1回、彼が会いに来れば、表面的にはそこそこ仲良くして――といった感じで、ロースクールの卒業や受験に向けて頑張りました」

 初受験は、受験会場最寄りのホテルに、母子三世代で泊まり込んでの子連れ受験までしたが、地力が足らず、不合格であった。浪人して再受験することを決め、北陸での生活が続いていた。

(後編へつづく)

最終更新:2017/09/02 18:41
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