『やすらぎの郷』肺腺がんで亡くなった野際陽子のセリフに「不思議な運命の巡り合わせ」
ニッポンのお茶の間をわかし続ける“昼ドラ”――そのあらすじと視聴者からの反響を、サイゾーウーマンが週1回(木曜日)お届けします!
『やすらぎの郷』(テレビ朝日/月~金、昼12時30分) テレビ業界人専用の老人ホーム「やすらぎの郷 La Strada」を舞台に、家族、財産(遺産)、過去の栄光、恋、死への恐怖、芸術への心残り……、さまざまな思いを抱える老人たちと、彼らに翻弄される脚本家・菊村栄(石坂浩二)の姿を描く物語。
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■8月24日(木)/104話~8月30日(水)/108話
姫こと九条摂子(八千草薫)に断捨離をさせたことで、マヤ(加賀まりこ)とお嬢こと冴子(浅丘ルリ子)のけんかが勃発した104話。そこに姫の付き人である夕子(松本ふみか)が、姫の異変を告げに訪れる。栄が夕子に連れられて海辺へ行くと、そこにはうつろな顔で着物を裂く姫の姿が。そして、姫はそのまま海辺で倒れてしまう。
105話では、目を覚ました姫が点滴を受けながらも、栄に辻褄の合わない話を語る様子が描かれた。姫の記憶混濁は、肺がんの脳への転移が原因だと理事長の名倉(名高達男)から明かされた栄。そして、姫の余命が、あとひと月ほどしかないという衝撃の真実を知る。
106話では栄が夕子に、事が公にならないよう平静でいるよう助言するが、姫に関するうわさは、たちまち「やすらぎの郷」の誰もが知るところに。栄は、あっという間にうわさ話を広げる施設内の人々に辟易とするのだった。
姫がこれまで果たしてきたテレビ人としての功績を回想する栄の姿から始まった107話。そんな中、栄のもとに姫の病気を知ったマヤが訪れる。マヤは姫に「断捨離をしろ」と言ったことを深く反省し、まるで次の人に明け渡すかのように何もなくなった姫の部屋に、これまで捨てたトロフィーや勲章を戻してほしいと「やすらぎの郷」の職員に頼み込む。
108話では、凉子(野際陽子)に呼び出され、「山家」に出向いた栄。そこで、涼子のペンネームである新人作家・濃野佐志美の受賞が本命視されている、芥川賞の発表日当日だと知る。今年6月に肺腺がんで亡くなった野際が、姫のがんについて「人っていつかこういう日が来るのね」と口にするシーンもあり、視聴者からは「この時、野際さんはどんな気持ちだったんだろう」「この一言にはすごく重みを感じる」「野際さんがこのセリフを言うってところに不思議な運命の巡り合わせがあると思う」という声が上がっていた。
また108話では、「脚本や演技などの仕事を必死にするのは、賞とか名誉が欲しいからではない」「もっと純粋な別のもののため」と凉子の口から語られるシーンも。前話107話では、テレビ人としての仕事を「心の洗濯屋」だという栄の姿も描かれ、視聴者は「凉子や栄のセリフは、倉本聰が理想とするテレビ人なんだろうな」「最終回に向けて倉本先生の思いがわかりやすく表現され始めてる」と感じたよう。
作品を通して出演している登場人物が死に向かう姿を、初めて描いた今回のエピソード。倉本が作中屈指の人気キャラクターでもある姫の姿をどのように描いていくのか要注目だ。