『黒革の手帖』が現実に!? 客への復讐として “月収400万円”ホステスとなった女性
武井咲演じる原口元子が、親の残した借金返済のために銀座のホステスとしてのし上がってゆくドラマ『黒革の手帖』(テレビ朝日系)。派遣先の銀行から横領した1億8,000万円をもとに、銀座の一等地にクラブ「カルネ」をオープン。先週放送の5話では、元子が銀座のクラブの最高峰である「ルダン」を手に入れるため、オーナーである政財界のフィクサー・長谷川庄治(伊東四朗)と交渉するという展開だった。
実際に、ドラマのように貧しかった家庭から、トップホステスにのし上がった女性がいる。その人は大きな目が印象的なミユキさん(仮名・31歳)。水商売を始める前はフルタイムでバリバリ働く会社員だったという。
「16歳で家を出て、大阪でアパレル企業のアルバイトを経て正社員になりました。マネジャーを任され、月収は35万円と業界内では高給でした」
母子家庭だったミユキさんは21歳のとき、「祖父母と暮らしたい」という母のためにマンションをプレゼントした。しかし、そのわずか1年後……。
「祖母が自殺しました。母は幼いころ裕福な家庭で育ち、祖父母よりも家政婦と過ごす時間が多く、わがままな性格でした。母と暮らし始めた祖母は、奴隷のように扱われていたそうです。祖母の相談を、私は仕事が忙しくてなかなか聞いてあげることができませんでした。祖母から最後の着信があった3日後、祖母は遺書を残して自宅のベランダで首を吊ったのです」
■自殺した祖母の気持ちに気づかなかったことを悔やんで生きてきた
「祖母からの『SOS』に気づいてあげられなかったことを悔やんで生きてきた」とミユキさんは言う。それでも残された祖父と母のために、実家のローンを払い続けた。
「24歳のときにアパレル会社を辞めることになりました。同僚同士の派閥や陰口など、人間関係のトラブルが原因です。他社から引き抜きの話もありましたが、これ以上の昇給は望めないと考え、業界から身を引きました。マンションのローンも含め、これからどうしようと悩んでいるときに声を掛けられたのがキャバクラの仕事だったんです」
祖父、母、そして自身の生活のためにキャバクラで働くことを決意した。源氏名の「ミユキ」は祖母の名前から付けた。
「水商売には少し抵抗がありましたが、実際に働いてみると、お客さんが自分のために1時間1万円を使うことが、すごくありがたいことだと思いました。昼職をしてお金の大切さを知っていたからかもしれません。ホステスは自分が商品であってマニュアルなどがないので、接客は漫画『女帝』(芳文社)を読んで勉強しました。源氏名に祖母の名前を付けたのは、なるべく自分を嘘で固めたくなかったからで、お客さんを騙すよりも楽しんでもらうことを一番に考えました」