養子を迎え、育児に協力的だった夫が単身赴任で浮気【別れた夫にわが子を会わせる?】
『わが子に会えない』(PHP研究所)で、離婚や別居により子どもと離れ、会えなくなってしまった男性の声を集めた西牟田靖が、その女性側の声――夫と別居して子どもと暮らす女性の声を聞くシリーズ。彼女たちは、なぜ別れを選んだのか? どんな暮らしを送り、どうやって子どもを育てているのか? 別れた夫に、子どもを会わせているのか? それとも会わせていないのか――?
第6回 根本みゆきさん(仮名・61歳)前編
「夫は、相手女性の子どもを認知していたんです。判明したときには、すでに8年もたっていました。認知は夫の戸籍謄本を取って発覚したんですけど、それによって、これまでの疑問が全部晴れました」
そう話すのは、東北で介護士をしている根本みゆきさん。彼女には、今年成人式を迎えた息子がいる。夫の隠し子問題が原因で、離婚したのは3年前のことだという。
■不妊治療の末、わが子が家にやってきた
根本さんは30年前に結婚した。夫は、地方転勤が多い1歳年下のゼネコン社員。夫婦は長年、不妊治療をしていた。根本さんは子宮筋腫、夫は精子が平均の4分の1しかなかった。
「実は私、自分で産んでいないんです。授からなかった。それで41歳のとき、生まれたばかりの男の子を引き取ったんです。
というのも、不妊治療を受けていた病院から『赤ちゃんを見に来ませんか』と連絡をいただきまして。2人で駆けつけたんです。生後まだ2日。母親は15歳の少女。産んだものの、育てられないとのことでした。とてもかわいい子でね、『この子を育てよう』と、夫とすぐに意気投合しました。そして私の妹からベビー用品のお下がりをもらった後、生後10日で男の子を家に迎えました」
いきなり引き取って育て始めるのは、大変だったのではないか?
「おむつを何時間かごとに交換しなきゃならないじゃないですか。そんなことさえ知らなかった。赤ちゃんの抱き方すらわかってなかったし、なぜ泣くのか、どうやってあやしたらいいのかってことも、最初はわからなかった。戸惑いの連続でしたが、自分たちの子として育て上げるんだという共通の夢がありましたからね。子育てを苦だとは思わなかった。
夫は、子育てにかなり協力的でした。私から指示を出して、いろいろ手伝ってもらいました。でも、それは夫のためでもありました。ただでさえ仕事で家を出ている時間が長いんですから、小さいときからちゃんと世話をして、密な交流をしておかないと、しっかりとした父子関係が作れないでしょ」