高橋一生、大ブレークの裏でアンチ急増――ファンVSアンチの構図はなぜ生まれる?
毎年恒例となっている、オリコンの「上半期ブレイク俳優ランキング」で、高橋一生が初めて1位を獲得した。子役時代から活躍し、芸歴は長かったものの、いまいち目立てずにいた高橋だが、2015年放送のドラマ『民王』(テレビ朝日系)での当たり役に始まり、ドラマ『カルテット』(TBS系)、大河ドラマ『おんな城主 直虎』(NHK)と、立て続けの出演で注目を浴びた。
今ではCMにも引っ張りだこ。女性誌の抱かれたい男ランキング上位にもランクインするまでになっており、36歳にして遅咲きのブレークを果たした。ところがその一方で、ネット上の反応を見ていると、高橋の人気に疑問を持つ女性も多いようだ。「不細工なのにイケメン扱いされている」「決してイケメンではない」「魚顔」など容姿を叩く意見が散見される。高橋のように“急速に女性に好かれてしまった”俳優の、つまずきどころについて考えてみたい。
ブレークして知名度が上がれば上がるほど、ファンだけでなくアンチも増えるのは自然なこと。中でも「イケメンか、イケメンじゃないか」という点は、誰しもがパッと見ただけで言える意見なので、アンチが容姿を叩くことは、なんとなく理解できる。しかし、なぜアンチは、わざわざそういった意見をネットに書き込みたくなるのだろうか。
もちろん、ネット上にはアンチだけでなく、高橋のブレークを喜ぶ書き込みも多い。最近の出演作でファンになった人のほかにも、以前から注目していたことを主張する人もいる。しかし、そういった人たちの中には、急に持ち上げられすぎてアンチが増えることを心配するあまり、「これからも脇役で頑張ってほしい」「細く長くやっていってほしい」「メジャーになってほしくなかった」という声を上げているのだ。どうも、このようなアピールをする派閥が、アンチの心に火をつけているように見えるのである。
「自分に先見の明があったこと」を暗に主張しながら、「自分だけがその良さに気付けると思っていたお気に入り俳優が、世間に見つかってしまったことへの残念感」を漏らしてしまうファンに、高橋自身がどうこうは別にして、反発心を持ってしまう層も生まれるのではないだろうか。その対立が、ネット上でのファンVSアンチの構図を作っているように、私には見える。
急速にブレークすればするほど、その対立は激しくなって、アンチの存在感も増す。「ブレークしたけどアンチも多い」というイメージが付くことが、ブレーク後の最初のつまづきになってしまうこともあるかもしれない。有吉弘行が言っていた「ブレークするということは、バカに見つかるということ」という言葉が染みてくる。
大江綾子(おおえ・あやこ)
日夜、テレビや週刊誌、芸能人のSNSなどをウォッチングしているライター。どこか癖のあるニオイを放つ女性タレントがお気に入り。