カルチャー
レイプクライシスセンターTSUBOMI代表・望月晶子弁護士インタビュー

詩織さんがレイプ被害を訴えても、“110年ぶり刑法改正”でも変わらない、被害者への視線

2017/07/26 15:00

――望月さんが代表をされているTSUBOMIでも、被害者の支援を行っていらっしゃいますね。

望月 性被害の電話相談を月曜から金曜の14~17時と、メール相談の返信を週2回行っています。相談を受け付けるのは心理の専門家というわけではありませんが、面談も行っています。公共機関に足を運ぶのが不安な方への付き添い支援もあります。

――付き添い支援というのは、警察や病院といった場所に一緒に行ってくれるということですよね? 被害者が勇気を出して警察へ行ったのに、たらい回しにされたという話も聞きます。

望月 例えば、埼玉で被害に遭った人が自宅のある東京の警察へ行くと、「被害に遭った埼玉の警察に行ってください」と言われます。また、ストーカー被害だと生活安全課ですが、強姦だと刑事課となるなど、担当が分かれており、最初の段階で、うまく被害に関する話ができていないと、たらい回しのようにされてしまうということはあります。そして、そのたびに同じことを話さないといけません。

――それが嫌で、あきらめてしまう人もいるそうですよね。

望月 弁護士がついていても、そのようなケースは多いです。先日の法改正により告訴をしなくても罪が認められるようにはなりましたが、加害者が友達の場合、周囲の人から「友達を犯罪者にするのか」などと言われてしまうことがあります。その結果、被害者が「私さえ黙っていれば事が収まる」と、告訴をしないケースも見てきました。

――今回の法改正について、望月さんはどのように受け止めていますか?

望月 基本的には、今までと変わっていないと感じています。というのも、激しい暴行の伴う事件しか犯罪が成立しないからです。同意がなくても、突然襲われたものや、激しい暴行のない性行為は罪にならない点でいうと、今までと変わっていません。

 でも、今回の法改正には「3年後見直し」が入っているので、そこに向けて、暴行・脅迫要件についても改正されるよう頑張らねばいけないと思っています。

――最近では、フリージャーナリストの詩織さんが顔を出して被害を訴えました。この件を機に、今までは泣き寝入りしていたような人が声を上げやすくなったといった傾向はあるのでしょうか?

望月 上げやすくなりましたかね……? むしろ、頑張って届けを出して訴えたのに、潰されたという感じではないでしょうか。彼女のことが報道された後に、相談件数が増えたということも特にありませんでした。

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