「裸になれる女」特集に見る「GINGER」女子の欲望の裏――「ありのまま」「自然体」への畏怖
続くファッションページからも、それがうかがえます。今月は「裸」というテーマに合わせて「肌見せ」「露出」ファッションが特集されています。そこでは、まずコーディネート紹介の前に、「おしゃれ人の肌見せ論」と題して、デザイナーに「肌見せ服の神髄」とやらを聞いているのですが、これまた「GINGER」女子を悩ませそうな言葉のオンパレード。「その服を纏って動いた時、いかに美しい“残像”を描けるか」といった一文もさることながら、「スタイリッシュ」「リッチ」「シャープ」などのワードからも、要するに露出にもセンスが必要だと痛感させられます。読めば読むほど「おしゃれ」ってこんなに難しいものだったのか……と、暗たんたる気持ちが募るばかり。そもそも女性誌のファッションページって、「可愛い!」「真似したい!」と思ったり、素敵な洋服にうっとりしながら読めれば、それでいいんじゃないかしら……と感じてしまうのは筆者だけでしょうか。
そして、その後の「辛口派が着たくなる夏の肌見せ服」という企画では、「背中開き」「背中深V」「背面Uネック」、「袖スリット」「深めスリット」「サイドスリット」「前スリット」、「ハリ感素材」「カジュアル素材」「ドライな質感」などなど、細かな違いを丁寧に説明してくれる流れになっています。毎度のことながら文字情報が多く、細かいルールがぎっしりの誌面からは、「センス」に自信がないから、それが問われる「おしゃれ」という分野に対して、畏怖とあこがれを抱く「GINGER」女子の一面が浮き彫りになってきます。
「自然体」で「ありのまま」の全てを脱ぎ捨てた「裸」の私になるためにも、まさにその「センス」が必要なのかも。勉強家なのはいいことですが、「GINGER」女子たちが自身の「裸」に自信を持つために必要なのは、参考書のようなルールではなく、もっと別のものだと思いました。
■筋トレが「裸」に自信をつけてくれる?
続いて「女が惚れる女のカラダ、その舞台裏」を見ていきましょう。泉里香、橋本マナミ、佐野ひなこなど、男性はもちろん、女性も認める“健康的で色気のある体つき”の女性芸能人たちに、体形維持についてのインタビューをしています。大体、芸能人への美容に関するインタビューでは「何もしていませ~ん」という答えが一般的ですが、今回は一味違います。「週に2回のジム通い」「パーソナルトレーナー」「ボクササイズ」「寝る前にプロテイン」「夜ご飯は18時半までに(外食でも21時までに)」「ホットヨガ」「リンパマッサージ」「炭水化物の代わりにブロッコリー」「医師の元で食事制限」「シックスパッド」……と、ストイックな単語が並びます。そして皆一様に「理想」を掲げて日々の「努力」を怠らず、「今では自分のカラダが大好き」と語っているんです。
これ、お勉強や努力が大好きな「GINGER」女子たちと相性バッチリな気がします。筋トレは目に見える結果が出ますし、感覚的に理解しにくい「センス」を追い求めるより、よっぽど本来の意味での「裸」に自信が持てそうです。それにトレーニングに集中することで「他人よりちょっと抜きん出たい」「あこがれられたい」という邪念も振り払えそう。「GINGER」女子と「筋トレ」……せっかくなので連載企画にしてしまえばいいのにと思う筆者でした。
(橘まり子)