コラム
仁科友里の「女のためのテレビ深読み週報」

横澤夏子、結婚報告に見る“学生時代のカースト”に縛られ続ける女の悲哀

2017/07/20 21:00

 横澤はバラエティで、SNSに関する“幸せ自慢”を糾弾することが多いが、同窓会に執着していることと、SNSを見てしまうことは地続きだろう。かつての同級生の消息をSNSで探せるからである。

 同窓会でチヤホヤされたい、輝きたいという横澤の願望はわからないでもないが、恐らくどんなに売れても無理だと私は思う。「芸能人になって売れる」というのは、確かな成功の形だが、それは最近の価値観であり、日本のあちこちには、“安定”こそ貴いという考えが浸透しているからである。学歴でも年収でもなく、親と二世帯、もしくは近所に住み(海外赴任は親不孝と言われる)、市役所や地元金融機関など安定したところに勤めて、孫の顔を見せるのが最高の人生という考えは、本当に根強くて死滅することはない。芸能人として売れることは、宝くじに当たったくらいラッキーなことと言えるが、“安定”を美徳とする人にとって、「売れても、来年の今頃はわからない」「不安定な職業だから、ローンが組めない」と一蹴されてしまうのだ。

 学生時代のカーストや立ち位置に納得がいかない人で、ごく一部の運と才能に恵まれた人が思いもよらぬ大出世を遂げることがある。しかし、学生時代のカーストというものは固定されたままで、逆転は絶対に不可能なのだ。学生時代、美少女として名高かった女性が見る影なく激太りしても、自意識は美少女のままだし、反対にカーストの低かった人間がNHKの朝ドラや『紅白歌合戦』に出ようが、周囲は「うらやましい!」とか「すごい!」とは思わず、せいぜい「昔はあんなだったのにねぇ」程度しか思わないものである。

 結婚を報告するファックスで、横澤は「今後は、私の凝り固まっている結婚という理想にとらわれず」と書いている。が、横澤が凝り固まっているのは結婚に関してではなく、自分の過去やカーストなのではないだろうか。

 横澤の生きる場所は、故郷の新潟県糸魚川ではなく、芸能界であり、一緒に生きていく人は、夫である。SNSに文句をつけるネタだけでは飽きられるのは目に見えている。夫のためにも、芸人としての奮起を期待したいものだ。

最終更新:2017/07/20 21:00
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