彼のことは嫌いじゃない。友達ならいいが、結婚相手ではなかった【別れた夫にわが子を会わせる?】
――ずいぶん大変な目に遭ったのに。失礼ですけど、不思議な関係ですね。
「彼のこと、ひどく言ってますけど、別に嫌いじゃないんですよ。ただ、結婚相手ではなかったということ。一緒に住んだら、ぐちゃぐちゃになる。それじゃ、子どももかわいそう。友達とか元夫という存在ならいいんです」
―――離婚したことは、その後の自分にとってよかったですか?
「別居して離婚が成立した後も、なんで別居しちゃったんだろう? なんで離婚したんだろう? なんで父親から子どもを奪っちゃったんだろう? って、そんな思いに苛まれていて、うーん苦しかったですね。別居後の数年間は、ずっと悩んでいました。だけど、離婚後しばらくして、離婚した理由を自分なりに理解してからは、離婚してもしょうがなかったんだなって思えるようになりました。
女性1人で子育てをしながら生きていくのは大変です。子育てをしていく上で、男性的な要素が欠けていることで困ったり、稼ぎが不安だったり。あと、ゆくゆく更年期障害になったとき、どうしようかなとか。それでも大正解だったって思いますよ。経済的DVがなくなって楽になりましたし、子どもたちを親に頼んで残業したり、飲みに行ったり、あと今日みたいにインタビューを受けることだってできますから」
――今後、再婚は考えたりしますか?
「どうですかね。そうなったらそうなったで、取りつくろったりせず、正直に子どもと話したいですね。再婚しても会わせるかですか? それも、そのときに子どもたちと話し合って決めればいいかなと思います。子どもの親権を私が持っているので、どうあれ私の方が優位ですし」
西牟田 靖(にしむた やすし)
1970年大阪生まれ。神戸学院大学卒。旅行や近代史、蔵書に事件と守備範囲の広いフリーライター。近年は家族問題をテーマに活動中。著書に『僕の見た「大日本帝国」』『誰も国境を知らない』『日本國から来た日本人』『本で床は抜けるのか』など。最新巻は18人の父親に話を聞いた『わが子に会えない 離婚後に漂流する父親たち』(PHP研究所)。数年前に離婚を経験、わが子と離れて暮らす当事者でもある。