マツコの知らない「テレビ局の資料管理」の世界! テレビマンに貸した物は戻らない?
「諦めるよりほかないですね」と言うのは某テレビマン。「うずたかく積み上げられた番組資料、明日の収録ために書かれたカンペ、ロケの小道具、請求書、企画書……。これがいっぺんに置かれているのが、テレビマンの机の上ですから。今頃、ADが徹夜でもうろうとして、ほかの紙と一緒にシュレッダーにかけてしまっているか、手の届かないような奥の資料の間に挟まって、そのまま永遠の眠りについてしまうことでしょう。冷酷な言い方ですが、テレビマンの管理意識なんてそんなものですよ」。
このテレビマンが自虐を込めて言うのは、昨年10月、人気番組『マツコの知らない世界』(TBS系)に出演した大学院生で、自ら「号外研究家」を名乗る小林宗之氏と、同番組をとりまく前代未聞の「紛失事件」についてだ。
「小林氏はこれまで1万7,000枚の号外を集めてきたという、名うてのコレクター。放送回では号外を集めるためのコツや、収集歴18年のなかで厳選されたコレクションを嬉々として披露していました。しかし、この収録後、どうやらスタッフが彼から預かった貴重な号外8点を紛失してしまったのです」(芸能ライター)
小林氏は昨年11月にすでにこの一件をツイートしていたが、去る7月7日、初めて番組名を明かして“捜索”を呼びかけたところ、大きな反響を呼んだ。ちなみに同氏が番組サイドを信じて預けた号外は、価値にして億単位のものだという。
さて、翻って冒頭のテレビマンの弁だ。このようにテレビマンが物を紛失するということは、よくあることなのだろうか?
「よくありますよ。それもタレントの物まで失くすこともあります。例えば写真。後は、幼少時代を撮影したビデオテープですとか、本、思い出の品など。タレントの事務所にそういうゆかりの品がないか聞くと、『昔テレビ局に失くされて以来ない』『制作会社に預けたはずが、戻ってきてない』といった話をよく聞きます。また、『だから貸したくない』という事務所もあります。ただ今ではペーパーレスになってきており、またテレビの全盛期だった時代よりは少しはマシなテレビマンもいるので、返却に気を付けてはいるようですが」(同)
そもそも、一体どうして失くすのか? 一度痛い目を見れば、管理を徹底するようになるのが一般企業の姿勢だが……。
「日々の業務に追われていて、つい……というのは言い訳で、それがいかに大事なものなのか、十分な意識が行き届いていないからに他なりません。まず前提として、そういう管理体制が万全ではない。そもそも、テレビマンは今でこそ、過去のテレビ番組を『アーカイブ』として振り返ることを心得ていますが、昔はテープ1本が非常に高価だったこともあり、一度使ったテープは別の番組を作るために上書きしていた時代もありましたから」(同)
そんな言質をとっている最中、またしてもというべきか、テレビ屋のずさんな体制が明らかになった。
芥川賞作家でありタレントとしても知られる作家の羽田圭介が、『さまぁ~ずの神ギ問』(フジテレビ系、16日放送)にVTR出演。「人気の小説家って卒業文集もいいこと書いてるの?」という疑問を受けて、小学校時代と高校時代、それぞれの卒業文集を見せてくれると、オファーを受けた時点では約束したものの、その後、文集を探してみると高校時代のものが見つからなかったのだという。そして、羽田は高校の卒業文集が「どこかのテレビ局に貸したまま返ってきていない」と告白、「なんでテレビ局って、資料返してくれないんですか?」と、真顔で番組スタッフに問いただしていたのだ。
もし羽田の高校の卒業文集の“行方不明”が本当にテレビ局の失態であるなら、本腰を入れて考え直した方がいいだろう。そして小林氏の所有していた貴重な号外と、羽田の文集は早急に返却してほしいところである。
(村上春虎)