橋本環奈は、なぜブレークしないのか? 「劣化」「育成失敗」と盛り上がるネットからわかること
所属事務所やメディアのプッシュがあるのに、なぜかブレークしきれない芸能人は数多くいるが、今では橋本環奈がその筆頭かもしれない。
福岡を拠点とするアイドルグループ「Rev. from DVL」のメンバーだった橋本は、2014年、ファンが撮影したステージ写真が「奇跡の一枚」と呼ばれ、ネット上で話題になると、「天使すぎるアイドル」「1000年に1人の美少女」といったキャッチフレーズ付きで知名度がアップ。このアイドルグループは解散となったが、現在もメディアからはトップアイドル扱いを受けいる。しかし、一般的には、それほどブレークしている様子が見られないのだ。
特に、昨年公開された初主演映画『セーラー服と機関銃 ‐卒業‐』は興行成績で失敗。角川映画40周年記念作品として大規模公開されながらも、公開初週でトップ10圏外の12位と大コケし、映画と連動してリリースされた橋本初のソロCD「セーラー服と機関銃」もヒットならず。それ以降、『ハルチカ』『銀魂』など、話題映画にも女優として抜擢されるなど、チャンスに恵まれているのに、これといった代表作はない状況だ。
なぜ橋本は、ブレークしきれないのだろうか。彼女には「いまだ代表作がない」と先に書いたが、逆に言えば、ネットを賑わせた「奇跡の一枚」が“代表作”となっている状態であり、それ自体がブレークしきれない原因なのかもしれない。外見と「1000年に1人」というフレーズの面白さで、名前と顔は一躍全国区となったものの、話題性としては、そのときが頂点となってしまっている。メディアは当時の話題性に乗っかって、地方アイドルだった橋本をCM、映画、ドラマなどに引っ張り出したが、話題性を上回る芸や素質がなかったため、予想以上にファンが付かない現状が生まれてしまったのではないだろうか。
また、ネット社会の今、メディアの思惑は思っているより簡単に世間に見破られる。「この子は売れるぞ!」というメディア側の荒い鼻息が、世間の反応を冷めたものにしたとも考えられるのだ。「天使すぎる」「1000年に1人」といったフレーズも、メディアが作り出したと思えば、一部の人にはうさん臭いフレーズにしか聞こえなかっただろう。その証拠として、少しでも橋本の写りの悪い写真や映像が世に出ると、ネット上は「劣化」「育成失敗」など、揶揄する言葉で盛り上がっている。
ほかに、いまいちブレークしきれない境遇にいるのが、新川優愛だろうか。生放送バラエティ番組『王様のブランチ』(TBS系)のMCに抜擢されたが、歴代女性MCとして最短記録の1年5カ月ほどで降板。当初はメディア内でも「ブレーク間近」など煽るムードがあったものの、キャラクターや個性は特に発揮されず、中途半端な代表作をつくってしまった。
「代表作」と「メディアのプッシュ」の波を逃してしまうと一気に、ブレークし損なったイメージが付いてしまい、負のスパイラルに陥ってしまう様子の芸能界。そこを乗り越える術は今後、あるのだろうか。
大江綾子(おおえ・あやこ)
日夜、テレビや週刊誌、芸能人のSNSなどをウォッチングしているライター。どこか癖のあるニオイを放つ女性タレントがお気に入り。