便器に歯ブラシ浸けたり、化粧水ボトルにオシッコ入れたり……ムショのコワ~い「イジメ」の話
面と向かってやるイジメがいいとは言いませんけど、いない時にやるイジメは陰湿で、さらにイヤでしたね。
たとえば入浴時のイヤガラセですね。お風呂は普通、同房ごとに行くのですが、生理の時は「M浴」といって、最後に入ります。ちなみにMって「メンス」の略らしいです。今どきメンスって言いませんけどね(笑)。で、イジメのターゲットがM浴に行ってる間に、そのコの歯ブラシを便器に浸けたり、化粧水のボトルにオシッコを入れたり、靴下などのモノ(官物)をトイレに流したりしてました。汚いのもイヤだけど、モノをなくすと懲罰ですから、けっこう大変です。
あとは、モノを別の人のバッグに入れて、「モノのやりとりをした!」と「冤罪」をつくり上げる例もありました。ムショでは、たとえいらないモノでも誰かにあげたら懲罰なのです。ひどいもんですが、ターゲットにされたら、ひたすら耐えるしかありません。私も耐えてきました。なので、ムショでイジメを耐え抜いた人は、どこでも通用すると思います。根性が違いますからね。
私は、少年院や刑務所を出てきたコたちの社会復帰を支援する日本財団の「職親プロジェクト」にも参加させていただいています。だからということもありますが、これから社員の募集・採用を考えていらっしゃる企業の方は、「ネンショー(少年刑務所)上がり」や「ムショ帰り」はむしろ「根性がある」と思って、採用を考えていただきたいです。ムショの工場は厳しいので、仕事熱心になりますし、懲役で鍛えられたハートと、焼き付けられた職業意識は、シャバの人には絶対に負けへんと思いますよ!
中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)」