【連載】別れた夫にわが子を会わせる?

離婚後、3.11を機に大阪に移住。昨年、8年ぶりに元夫に助けを求めた【別れた夫にわが子を会わせる?】

2017/06/24 15:00

8年ぶりに、元夫に連絡をしてみました

――元旦那さんには連絡されていないんですか?

「息子による暴力や学費の心配など、いろいろ困ることが出てきたので、わらにもすがる思いで、8年ぶりに、元夫に連絡をしてみました。『助けてください』という文面のメールを出したんです。メールの文面でですけど、これまで息子に会わせてあげられなかった自分の非を詫びることもできました。自分から一歩踏み出せて、よかったと思っています」

――元旦那さんからの返事はあったんですか?

「私からのメールが、たぶんうれしかったんでしょう。『困ったことがあったら相談に乗るよ』という返事が来ました。今やってる仕事の本を送ってきてくれて、息子に『こんな本作ってんだって』って言ったら、『おお、すげえ』って。まあ彼の中で父親がどんな人なのか、想像してるんでしょうね。息子宛に送られてきたメールは、そのままプリントアウトして、『読んでみたら』って言って渡しましたが、『思春期たるものこういうもの。誰もが壁にぶつかるもの』とか、説教臭い部分もあるので、読んでるかどうか……」

――まだ再会はしてない?


「実現していません。彼は彼で、会わせもしなかったくせに、こんな状態になってから相談しやがってと思っているかもしれませんし、それだけ時間がたってしまうと、彼の方も、そんなに会いたいという気持ちがないかもしれないですしね。どう思っているのか、またこれから関係がどうなるのかわかりません。だけど、これまでのツケもあって、すごく面倒くさい父子、そして母子関係になってしまうかもしれませんね」

西牟田 靖(にしむた やすし)
1970年大阪生まれ。神戸学院大学卒。旅行や近代史、蔵書に事件と守備範囲の広いフリーライター。近年は家族問題をテーマに活動中。著書に『僕の見た「大日本帝国」』『誰も国境を知らない』『日本國から来た日本人』『本で床は抜けるのか』など。最新巻は18人の父親に話を聞いた『わが子に会えない 離婚後に漂流する父親たち』(PHP研究所)。数年前に離婚を経験、わが子と離れて暮らす当事者でもある。

最終更新:2017/08/14 21:01
わが子に会えない 離婚後に漂流する父親たち
ちゃんと再会できますように