NMB48・須藤凜々花は“詐欺罪”に当たるのか? 「異性との交際は憲法が保障する権利」と弁護士
「ドラマのこのシーンってありえるの?」「バラエティーのあのやり方ってコンプライアンス的にどうなの?」……テレビを見ていて感じた疑問を弁護士に聞いてみる、テレビ好きのための法律相談所。
<今回の番組>
『第9回AKB48選抜総選挙』(フジテレビ系/6月17日午後7時~)
<今回の疑問>
NMB48・須藤凜々花の結婚発表は詐欺罪に当たるのか?
6月17日に行われた「第9回AKB48選抜総選挙」で、NMB48・須藤凜々花が突然の結婚を発表し話題になっている。須藤は3万1,779票を獲得、ファンが投じた金額は1,000万円以上にも上った。選挙の直前まで投票を呼び掛けていた須藤に対し、ファンからは「詐欺」、「返金対応すべき」との厳しい声も上がっている。AKBグループには恋愛禁止の掟があるが、それを破って結婚を発表したことで、「詐欺罪」として立件できる可能性はあるのだろうか? アディーレ法律事務所の岩沙好幸弁護士に聞いた。
岩沙弁護士によると、このケースでは「詐欺罪が成立する可能性は低い」という。
「今回は、総選挙の前に恋愛禁止の掟を破って交際していたにもかかわらず、それをファンに伝えなかったという行為(不作為)が問題となります。不作為による詐欺とは、事実を告知しないことにより、相手方が勘違いしている状態を利用する場合に成立します。もっとも、不作為による詐欺罪が成立するためには、『法的な告知義務』が認められなければなりません。しかし、異性との交際を妨げられることのない自由は、『幸福追求権』として憲法13条で保障されている重要な権利です。いくら恋愛禁止のグループに所属していたとしても、全国のファンに対して異性と交際していることを明らかにする法的な義務はありません。よって、詐欺罪が成立する可能性は低いでしょう」
では、ファンが民事で賠償請求することは不可能なのだろうか?
「不法行為に基づく損害賠償請求が認められるためには、行為に違法性があることが必要です。しかし、前述の通り、異性と交際していることを全国のファンに明らかにする法的な義務はないため、隠れて交際していたとしても違法性がありません。したがって、損害賠償請求は認められないでしょう」
数々の波紋を呼んでいる今回の結婚発表。投票したファンは気の毒ともいえるが、結婚に対しては温かく見守るしかなさそうだ。
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